ブラジル国籍の男性が東京入国管理局(現・東京出入国在留管理局)の施設に収容中、職員から床に押さえ付けられてけがをしたとして、慰謝料など500万円を国に求めた訴訟の判決で、東京地裁(下沢良太裁判長)は23日、男性の頭部を押さえた行為を違法と認め、10万円の支払いを命じた。
判決によると、男性は平成30年10月、東京都港区の入管施設から茨城県牛久市の東日本入国管理センターに移送されることが決まったが、トイレに立てこもるなどして抵抗。体格の良い職員に約8分間、頭部を床のマットに押さえつけられ顔などが鬱血(うっけつ)した。
下沢裁判長は「制圧行為の危険性や男性の恐怖感、1人の人間として尊重されることのない扱いを受けた屈辱感などを考慮すれば、慰謝料10万円が相当だ」と指摘。男性側は左肩にけがをしたと主張したが、職員の行為との因果関係を認めなかった。
出入国在留管理庁は「判決内容を十分に精査し、適切に対応する」とした。