22日限りで退官する最高裁の大谷直人長官(69)が21日、記者会見した。「充実感をもって過ごすことができ、退官を迎えられることをありがたく思う」と述べ、4年5カ月の在任期間を振り返った。
大谷長官は、在任中の忘れられない出来事として新型コロナウイルス禍を挙げ「感染防止対策と司法機能の維持の両立をどう図っていくか、これまでにない対応を求められた。感染の不安を抱えながらも参加してくれた裁判員をはじめとする国民の皆さんに感謝申し上げたい」と話した。
裁判手続きのIT化に関しては「(民事分野のデジタル化を進める)法律も成立した。利用しやすい司法への前進が具体的に実現できると思う」と語り、後任の戸倉三郎氏(67)については「色々な場所で一緒に仕事をしてきた間柄。全力を傾けて成果を上げてくれると思っている」と、期待を口にした。
大谷長官は昭和52年判事補。静岡地裁所長、最高裁事務総長、大阪高裁長官などを経て平成27年2月に最高裁判事となり、30年1月に最高裁長官に就任した。