バスケットボール男子・Bリーグで今季、宇都宮をリーグ発足初年度の2016-17年シーズン以来2度目の優勝に導いた安斎竜三監督(41)が20日、宇都宮市内で記者会見し、今季限りで退任すると発表した。後任は未定。
「自分のバスケット観に新しいものが出てこない、厳しくなってきた。もう一回考え直す時間が欲しいと、最終的な決断に至った」と、理由を話した。
17-18年シーズン途中にアシスタントコーチから昇格。昨季は4年間手塩にかけて育てた充実した戦力で臨んだが、チャンピオンシップ決勝で敗れて優勝に届かなかった。そのころから「自分のバスケットを正しいと思って求め続けたが、疑問が生じた」という。
準優勝を区切りに退任を考えたが、鎌田真吾GMから「まだ優勝するチャンスもあるので一緒に頑張ろう」と慰留され、「もう1年頑張ろうとやってきた」。メンバーが代わり、新たにチームを作り始めた今季は予想外の結束で優勝。「土台を変えずやっていったら最後に勝てた。こうだと思ってきただけじゃなかったと発見できたのはよかった」と優勝を振り返った。
退任の意向は、主将で同期の田臥勇太(41)には事前に伝えていたが、他の選手には優勝後に話した。ある程度勘づいていた選手もおり、「報われてよかった、優勝できてよかったという話をくれた」。笑顔を見せ、「(シーズン中から)やり切って終わろうと思っていてやり切れた。すっきりした気持ちで未練はない」と心境を表した。
福島県出身。福島工高から拓大、大塚商会(日本リーグ)、埼玉(bjリーグ)をへて07年に栃木(現宇都宮)へ。13年に引退するとチームのアシスタントコーチに就いた。「学生時代にいいチームに行けず、社会人として頑張っていてチャンスをもらった。クラブに返すという思いでやってきて、全部がいい思い出」と宇都宮での15年間を振り返った。
「スポンサーやファンにお金や時間を割いて応援してもらっている。何か返さなきゃいけないという責任だけは常にもってやってきた。毎試合、応援してよかったと思ってもらえるチームを作ってきた。それが僕がバスケットをやっている幸せかと思う」。応援してもらえるチーム作りを心掛けてきたとし、「栃木といえばブレックスと、バスケットを知らない人でも知っているチームになるように、クラブとして突き進んでいかないと」と、自身が去るチームの今後に期待した。
自身は「具体的な計画はまだない」としつつも「海外の試合を見たり、現地に行けるならいって、いろんなコーチから学びたい」と、指導者としてブラッシュアップしたいと話した。