〝ミスターゼロ〟を襲名だ。日本ハム・加藤貴之投手(30)が今季の交流戦で4試合に先発し、計26イニングを無失点。全日程を終了してセ・リーグの勝ち越しとなった今季において、セ界を相手に1点も取られない快投を披露した。
「ちゃんとチームが勝ったので、自分がやるべきことはできたかなと思います」
交流戦で規定投球回に到達して防御率0・00を達成するのは2015年の阪神・メッセンジャー、今季の阪神・青柳に続き3人目。パ・リーグからは初の快挙となった。最初の3試合では無失点投球を続けながらも打線の援護に恵まれず、勝ち星がついていなかった左腕。それでも「ゼロに抑えれば負けない」と気合を入れ、12日の中日戦(札幌ドーム)で7回6安打無失点とし、ようやく3勝目をつかんだ。
12日の中日戦(札幌ドーム)は、前回登板から中4日でのマウンドだった。自身初の間隔に「一回やってみたかった。次回はいい感じになる調整をしたい」と経験の引き出しを増やした。登板間隔が詰まっても好投できる裏側にあるのが〝省エネ投法〟だ。
試合では、ブルペンの6割程度の力で投げる。「球が速くないので、コントロールが大事」。この意識で今季は13試合で3勝4敗、防御率1・76と先発ローテーションの中心を担う活躍。13試合で四死球は5と、制球力も光っている。
「勝ち星は運だと思う。打者一人ひとりに集中して、ゼロで終われるように」
1点も取られなければ、負けることはない。マウンドで美学を体現し続ける。(サンケイスポーツ・日本ハム担当)