人口構成も、リトアニアは他の2国と異なる。エストニアとラトビアでは、ロシア系が人口の4分1を占めるが、リトアニアは人口の83%がリトアニア人で、ロシア系は約5%に満たない。
リトアニアは、北にラトビア、南にポーランドと国境を接しているが、東側にはベラルーシがある。だが、南西でロシアと国境を接している。
そのロシアとは「カリーニングラード」という〝飛び地〟のことだ。第二次世界大戦前までは、ドイツ領「ケーニヒスベルク」だった。戦後ソ連が領有した。リトアニアがソ連邦から独立して飛び地となったのだ。
カリーニングラードは、ソ連軍がバルト海に出る軍事拠点として、東のウラジオストク同様の閉鎖都市だった。現在ここには、核兵器搭載可能な弾道ミサイルも配置されており、不気味な存在となっている。
ロシアは、ウクライナのドンバス地方、ジョージアの南オセチア共和国など、飛び地を足掛かりに軍事行動を起こしている。警戒の目を向けないわけにはいかない。
リトアニアは最近、新疆ウイグル自治区などで人権弾圧を続ける中国を非難し、中国の軍事的圧力を受ける台湾への支援を強化している。昨年10月には台湾の経済視察団を受け入れ、翌月には首都ビリニュスに台湾代表処(大使館に相当)の開設を認めた。同月末には、バルト三国の国会議員団が訪台し、蔡英文総統と会談している。