キックボクシングイベント「THE MATCH2022」が19日、東京ドームで行われた。メインイベントの58キロ契約3分3回延長1回はK-1スーパーフェザー級王者の武尊(30)=SAGAMI―ONO KREST=が、RISE世界フェザー級王者の那須川天心(23)=TARGET/Cygames=に0-5の3回判定負け。入場料収入約20億円の〝世紀の一戦〟に敗れた。
K-1史上初の3階級制覇王者として、団体の看板を背負って闘った武尊だが、那須川にボクシングスキルで完全に上回られ、完敗した。終始、中間距離から右ジャブを当てられて試合を支配され、1回終了間際にはカウンターの左フックで顎を打ち抜かれ、ダウンを喫した。1回で大きなリードを奪われ、焦りから那須川を投げ飛ばして、レフェリーから注意を受ける場面もあった。終盤は打たれながらも前に出て大振りのパンチを放ったが、空転させられ続けた。
武尊はRISEとRIZINで活躍する那須川のホームではなく、中立の舞台での対戦にこだわった。そのため「天心から逃げている」などと誹謗(ひぼう)中傷を浴びたことがあったが、不満一つ言わずにずっと那須川との対戦を望み続けた。
ベスト体重は60キロ契約。55キロ契約が適正の那須川との対戦を実現させるため、58キロ契約で試合3時間前の当日計量で62キロまでという条件を受け入れた。減量は過酷を極め、筋肉量を減らし、節制して普段の体重を62キロ近くにすることで適応しようとしたが、本来の動きからは遠かった。
ボクシング技術にたけているサウスポーの那須川対策のため、サウスポーのプロボクサーとのスパーリングを行った。1月には横浜市の大橋ジムを練習に訪れ、WBA、WBC、IBF世界バンタム級統一王者の井上尚弥(29)=大橋=からアドバイスをもらうなどしたが、那須川を攻略することはできなかった。
負けたら引退することを示唆しており、号泣しながら退場。試合後の会見では「天心選手に心から感謝している。俺を信じてくれた人たちには、心から申し訳ないと思っている」と話すのが精いっぱいだった。
プロ戦績は武尊が42戦40勝(24KO)2敗、那須川がキック42戦42勝(28KO)、MMA4戦4勝(3KO)、MIXルール1戦1勝(1KO)となった。