近ごろ都に流行るもの

「1万円の『高級ビニール傘』」強風に耐える逆支弁 選挙や皇室行事にも

産経ニュース
天然木に名前入り(右端)、花柄、房飾り、ステッキ風などハンドルも多彩。左端は選挙用のカテール(重松明子撮影)
天然木に名前入り(右端)、花柄、房飾り、ステッキ風などハンドルも多彩。左端は選挙用のカテール(重松明子撮影)

安物の使い捨てイメージがあるビニール傘だが、「最低でも5年、10年、使ってもらわないと困ります」。そんなことを言う傘工房がある。東京都台東区のホワイトローズは、1万円前後もする高級ビニール傘を手作り。昭和33年に世界初のビニール傘を開発し、選挙遊説や皇室行事にも利用されてきた。傘の内側から風を逃す特許「逆支弁」で強風に耐え、目指すのは「究極の安全性」。クラウドファンディングで支援者を増やし、百貨店からの引き合いも増えている。

上皇后さまご使用で注目

参議院選挙の公示も間近。「先月以降、政党や候補者からの注文が入っています。梅雨に限らず、選挙期間中の雨は不思議と多い」と、須藤宰(つかさ)社長(67)。必勝の願いを込めて「カテール」(8800円など)と名付けた選挙用傘が主力商品だ。軽くしなやかなグラスファイバーの骨、高級感を醸しつつ指がすべりにくい、竹を模した樹脂ハンドルなどが特徴。

きっかけは昭和の終わり頃だった。「選挙カーの上で、黒っぽい傘を持っていると威圧感を与えて偉そうに見えるし、暗く顔が隠れてしまう。といっても、安いビニール傘が折れたら危険で縁起も悪い。透明で丈夫な傘を作ってほしい」

父親である先代が、友人の都議会議員からの依頼で開発した傘が議員間の口コミで広がり、与野党を問わず国政選挙にも広がった。

傘の内側から空気を逃がす「逆支弁」構造を説明する須藤宰社長=東京都台東区のホワイトローズ(重松明子撮影)

さらには平成22年5月、雨天下の「全国植樹祭」で上皇后さまの目に留まり、ご要望を取り入れた傘を宮内庁に納品。その年10月の園遊会も雨が降り、傘越しに懇談される上皇后さまのお姿を、「ビニール傘で公式行事」「雨の日でも〝晴れの笑顔を〟」と女性週刊誌が報じ、一般にも知られる契機となった。

ホワイトローズは享保6(1721)年、江戸駒形の煙草(たばこ)商人を起源とし、4代目から雨具商に転向。須藤社長は10代目にあたる。

現在、千葉県旭市の工場で6人の社員に応援の職人も動員し、年間約1万2千本を製作。一口にビニール傘といっても、ハンドルに天然木を使うなどして多彩な〝表情〟を見せる。楓(かえで)に房飾りが揺れる女性用(1万3200円)、桜の樹皮の風合いが重厚な男性用(1万1千円)、折りたたみ傘(1万5400円)など約10ラインがある。

販売は台東区寿の直営店(土日曜・祝日休み)と通販のみだが、今月22~28日、松屋銀座(中央区)に期間限定出店する。

「昨年に続きお声がけさせていただいた。ビニール傘のイメージとは逆。機能や強度が最高で、修理のアフターケアも先駆けてやってこられた。良いものを長く使う、サステナブルの意識が追い付いてきた今、傘選びの選択肢を広げたい」と、松屋の担当バイヤー原田敬太さん(38)。

須藤社長は今月、東京、大阪、熊本の百貨店を巡回し自ら接客に立つ。また、傘をさして強風に耐える実験動画、ドラマ仕立ての短編動画も主演・制作してネットで公開中。「傘は人を雨風雪から守る道具です。経営者の本気の姿勢を伝えたい」との思いからだ。

この4年間に7回、クラウドファンディングを実施した。進化系ビニール傘を返礼品とし、支援者1千人超、1千万円以上を集めたプロジェクトもある。「クラウドファンディングは私どものような中小零細メーカーが、新たな挑戦をするための資金繰りには打って付け。支援いただいた数の返礼品をお作りすればよい受注生産式で、生産リスクがほぼなく、PR効果も高い。安い中国製に押され、日本のモノづくりが厳しい時代。この経験を同じような立場の方に伝えたい」

5月には「町工場だから儲(もう)かる! クラウドファンディング必勝法」(ビジネス社)を出版した。

日本発祥のビニール傘。無色透明でどんな服を着ても邪魔をしない。視界が開けて歩きやすく、梅雨のうっとうしい気分も晴れる。日本のモノづくりの奥深さに、また一つ気付いた。(重松明子)

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