転職活動をする上では、「自分にはこんなキャリアやスキルがある」と、それを武器だと考えるでしょう。もちろん、自分の努力なくして手に入れられるものではありません。ただ、そこで「自分だけの努力で」と思ってしまう人は、いいキャリアに“巡り会えない”と思います。
なぜかというと、そういう人は応援してもらいにくいからです。キャリアを構成しているのは、本人の努力だけではありません。雇ってくれる会社があり、提供してもらえる環境があり、サポートしてくれる仲間や家族といった様々な要素が「働く自分」を支え、その上でキャリアというものが形成されます。それを無視して、キャリアを“振りかざす“人に良いキャリアは“ついてこない”と思います。
キャリア、つまり「仕事上の経験や経歴」というものは、他者や環境との「巡り合い」によって形成されるもので、「引き寄せられる」ように築かれるものだと思うのです。私はあえて、「キャリアを積む/築く/磨く」ではなく、「キャリアがついてくる」「キャリアが寄ってくる」と表現したいと思います。
キャリアを考える上で大切にしていることの2点目は、自分のキャリアは社会貢献の一環だととらえることです。
本連載でも触れたことがある内容ですが、私たちは社会に育てられてきました。義務教育や社会保障を享受しながら、社会人になっているわけです。ですから、社会への恩返しを忘れてはいけないと思います。自分たちが受けられた恩恵を後世にも繋いでいけるよう、今よりもっといい社会が紡いでいけるよう行動すべきだと思います。
会社に貢献することは、社会貢献につながると言えます。キャリアを考える上で、ついつい自分だけに矢印が向きがちですが、広い視野を持ってキャリアを考えることは大切かつ、いいキャリアを築く近道だと思っています。
キャリアが「ついてくる人」「寄ってくる人」とは
では、キャリアが“ついてくる“人、“寄ってくる”人とはどんな人でしょうか。私が考える要素として3点お伝えしたいと思います。キーワードは「興味と疑い」「使命感」「鈍感力」です。
1.おもしろい人
まず、「つまらない人」にキャリアはついてきません。話していて楽しい人には人が集まるように、キャリアも集まりやすいです。では、「つまる人=面白い人」になるにはどうしたらいいのか。それは色んなコトやモノ、そして人に興味を持つことです。目の前にある事柄・状態に興味と疑い(「本当にこうあるべきなのか」といった、ポジティブな意味合いでの懐疑心)を持ち、人とも向き合える人になることで、行動や発言が生まれ、能動的な印象を与えることができ、信頼にもつながると思います。
2.使命感のある人
「使命感」を持っている人にもキャリアは寄ってきます。当事者意識という言葉に少し似ているかもしれません。使命感を持つことは、当事者意識よりも圧倒的に自分事化することです。「自分がやらなければ…」という思いを持って業務に向き合っている人は、誰しも心惹かれます。人を惹きつけることはキャリアを惹きつけることにもつながります。
3.鈍感力を持っている人
そして最後は「鈍感力」を持っている人です。社会に出て働いていると、様々な人に出会います。驚くほど自分の価値観と違う人にも出会いますし、そういう人と同じ職場で働くこともあります。仕事は人との関わりの連続です。いい影響を与えてくれる仲間もいれば、そうじゃない人もいるでしょう。そういった環境の中で、「自分にとって有益な意見だけにアンテナを張れる力」は、社会を生き抜く力とも言えるでしょう。
人は、自信がなかったり、弱ってしまったり、ストレスフルな状況になると、ついつい雑音ばかりが耳に入ってきます。雑音に有益な意見はありません。雑音に鈍感になり、自分にとって必要な意見を取り入れ、自分と向き合うことで、キャリア形成、キャリアチェンジ、アップデートの実現につながると思います。