ガソリン規制強化見送り 消防庁検討会、北新地放火は「特殊な火災」

産経ニュース
大阪・北新地のクリニックで発生した放火殺人事件では、26人が犠牲になった=昨年12月17日午前(本社ヘリから)
大阪・北新地のクリニックで発生した放火殺人事件では、26人が犠牲になった=昨年12月17日午前(本社ヘリから)

大阪・北新地のクリニックで昨年12月、26人が犠牲になった放火殺人事件で、ガソリンがまかれた待合室の温度が約20秒で500度近くまで急上昇し、黒煙で視界がほぼゼロになっていたことが、総務省消防庁の放火シミュレーションで分かった。事件後に設置された同庁の有識者検討会は今月末にも防火・避難対策などを報告書にまとめるが、今回は避難が極めて困難な「特殊な火災」と判断。現行規制の強化は抜本的な対策につながらないとして、ガソリン販売の登録制導入提言などは見送る方針。

犠牲となった患者やスタッフら26人は、いずれも待合室より奥の廊下や診察室で見つかり、大半は一酸化炭素(CO)中毒で亡くなった。大阪府警の捜査では、死亡した谷本盛雄容疑者=当時(61)=が犯行を綿密に計画し、放火後に一部犠牲者に体当たりするなど避難を妨害していたことも判明している。17日で事件から半年となる。

同庁によると、シミュレーションは府警の協力で、現場の防犯カメラ映像などをもとに実施した。映像は放火の約1分30秒後に途切れていたが、黒煙で映像が確認できなくなるまでのガソリンの火源面積を4・43平方メートルと特定。窓の開閉状況なども参考に、さまざまなパターンで検証した。

このうち、診察室に窓がない▽非常階段につながる扉が開放-など当時の状況とほぼ合致するシミュレーションでは、待合室の温度が高さ1・8メートル地点で約20秒後に500度近くまで急上昇。黒煙で視界もほぼ絶たれ、1分30秒後には空気中のCO濃度は0・1%(千ppm)に達した。廊下や診察室も約1分で視界はほぼゼロとなり、3~4分後にはCO濃度が0・1%になった。

火災に詳しい東京理科大の水野雅之准教授(避難行動)は「CO濃度0・1%で人は倦怠感(けんたいかん)や吐き気の症状が出る上、黒煙が充満してまともな避難ができない状況だったといえる」と指摘する。

シミュレーションでは、時間経過とともにクリニック内の酸素濃度が減少。ガソリンが不完全燃焼を起こし、CO濃度がさらに上昇していた。CO濃度1%(1万ppm)になれば人は数秒で意識を失い、結果的に死亡する可能性が高いといい、水野氏は「診察室に窓があっても、高濃度のCOが短時間で充満したはずで、放火直後にやけど覚悟で非常階段から避難する以外に助かる可能性は低かった」と分析する。

同庁関係者によると、有識者検討会は、避難の困難さを示すシミュレーション結果に加え、避難の妨害もあって今回は特殊な火災だったとし、事件を機に「(ガソリン販売の)規制を強化するのは社会の負担が大きい」と判断。販売を登録制とすれば抑止力になりうるが、バイクや車からガソリンを抜き出すことも可能で「国民の利便性が落ちる割に効果は限定的」とし、現行規制の徹底を重視する方向で報告書をまとめる見通しだ。(小松大騎)

  1. 名脇役の斎藤洋介さんが死去 69歳、人知れずがんで闘病

  2. きよ彦さん死去…毒舌キャラでタレントとしても人気集めた着物デザイナー

  3. 「SOUL'd OUT」トレンド入りで「再結成?」とネット騒然 「原因はスタバ」真相に大盛り上がり

  4. 値上げしてもよいと思うもの 3位「おむつ」、2位「ビール」、圧倒的1位は?

  5. スタバ「メロンフラペチーノ」が販売開始!ネットの評判は…?