【パリ=三井美奈】マクロン仏大統領、ショルツ独首相、ドラギ伊首相の3首脳が16日、ウクライナの首都キーウ(キエフ)を訪問した。2月のロシアによる侵攻後、それぞれ初めての訪問となった。
欧州からは4月以降、各国首脳が相次いでウクライナを訪問。フランスは欧州連合(EU)、ドイツは先進7カ国(G7)でそれぞれ議長国を務めるが、出遅れていた。3首脳は「ロシアとの対話」を掲げてウクライナ側の警戒を招いており、ゼレンスキー大統領との直接会談で関係再構築を目指す狙いがある。
マクロン氏は16日、列車でキーウ駅に入り、「ウクライナ支援で、EUの結束を伝えたい」と述べた。
ゼレンスキー氏との会談では、23、24日のEU首脳会議を前に、ウクライナのEU加盟問題が話し合われる。26日には、ドイツでG7首脳会議の開幕が控えており、G7によるウクライナ支援も課題となる。
独仏伊首脳はプーチン露大統領との電話会談を続け、早期停戦を目指してきたが、これまでに仲介外交の成果は皆無。ウクライナが、米国の圧倒的な軍事支援を受けて露軍を後退させる中、マクロン氏は「有用な時に行く」としてウクライナ訪問を見送ってきた。重要会議の日程に押される形で、15日のモルドバ訪問にあわせて実施を決めた。
ドイツからは4月、シュタインマイヤー大統領が東欧首脳とともにキーウ訪問を計画したが、ロシアとの関係からウクライナ側が難色を示したため断念。ドイツでは、首脳のウクライナ訪問の是非が、政治問題に発展していた。