政府の衆院選挙区画定審議会(区割り審)が16日、小選挙区定数「10増10減」に向け岸田文雄首相に勧告した区割り改定案。新潟県では定数が1減って5になるだけに、政界の関心は高い。県内のベテラン首長は「区割り改定は新潟に激震となって伝わるだろう」と指摘した。
区割り改定案によると、新1区は新潟市東区、中央区、江南区、佐渡市。新2区は新潟市南区、西区、西蒲区、燕市、三条市、加茂市、田上町、弥彦村。新3区は新潟市北区、秋葉区、新発田市、村上市、五泉市、阿賀野市、胎内市、聖籠町、阿賀町、関川村、粟島浦村。
また、新4区は長岡市、柏崎市、見附市、小千谷市、出雲崎町、刈羽村。新5区は魚沼市、南魚沼市、十日町市、糸魚川市、妙高市、上越市、湯沢町、津南町。
区割り改定をめぐっては花角英世知事が1月、市や行政区を分割しないことを原則にしてほしいとする知事意見を区割り審に提出。意見を反映した区割り案となった。
参院選を控えた県内政界では6月に入り、決起集会を開くなど動きが活発化。会場で区割りが話題になる場面もあった。燕市内のホテルで11日開かれた細田健一経済産業副大臣を励ます会では、あいさつに立った自民党県連幹部が「(新しい区割りのもと)細田氏はしっかりと馬力を出して頑張ってほしい」とエールを送った。
また、区割りが改定されることで従来の選挙戦略の見直しが必要になってくるとみられる。県内の国政選挙で長年、自民を支援してきたベテラン首長は「区割りの改定は激震となって伝わるだろう」と語った。
県内には、区割り改定を視野に入れたとみられる動きもある。昨年10月の衆院選新潟2区で、細田氏と激しい自民党公認争いを演じ比例に回った鷲尾英一郎衆院議員(比例北陸信越)は先月、新たな後援会「越鷲会(えっしゅう)」の設立総会を長岡市内で開催。同市などをエリアにする従来の新潟5区での活動をスタートさせた。区割り改定を念頭に置いた動きとみられている。
自民は、前回選挙で泉田裕彦国土交通政務官(比例復活)を5区の公認候補とした。しかし、泉田氏は衆院選後、選挙をめぐり元自民県連会長から裏金を要求されたと主張し、党を揺るがす事態となった。党本部は昨年12月、次の衆院選の公認候補となる全国の選挙区支部長を選任したが、5区の人選は保留。区割り改定以降に改めて人選が行われるとみられる。そうした中で鷲尾氏は5区での活動をスタートさせた。
一方、野党側にも区割り改定に絡む動きがあった。昨年の衆院選新潟2区に国民民主党公認候補として出馬し、落選した元県議の高倉栄氏だ。高倉氏は県議を辞めて国政に挑戦。支援した労働組合組織の連合新潟は「次の衆院選で捲土(けんど)重来を期すものと思っていた」(幹部)が、昨年12月に突如、自身が県議を辞めたことに伴う県議補選に出馬することを決断した。
高倉氏は「区割り改定により、新潟の定数は6から5に減る。野党全体の輪を考え、県議に戻るという苦渋の決断をした」と説明。県議補選は5月29日に投開票が行われ、高倉氏は接戦の末に敗れた。