【ノーサイドの精神】
リーグワン1部で同じNTTグループの浦安(旧NTTコム)との再編に伴い、来季は3部に降格する大阪(旧NTTドコモ)は6月12日、大阪市住之江区の練習グラウンドでフェスティバルを開催し、約1500人のファンでにぎわった。
開門前から長蛇の列ができたとも聞き、驚くとともに感心した。プレーだけでなく普及や社会貢献など、地道な活動が着実に地域に浸透してきたということなのだろう。その大阪、浦安の現体制としては最後のシーズンとなった今季の終幕は、ともに寂しいものとなった。
浦安に強化を一本化し、大阪の活動を縮小するという再編案が発表されたのは3月16日。選手たちのモチベーションへの影響を心配したのだが、大阪はむしろ発表前よりも充実した戦いを見せたように思う。
だが、チーム内で新型コロナ陽性者が確認されたため、5月1日のホーム最終戦(対トヨタ=旧トヨタ自動車)、同7日の今季最終戦(対東京BR=旧リコー)戦とラスト2試合が中止。集大成を披露する機会を失っただけでなく、2戦連続の不戦敗で3勝13敗の11位という、不本意な成績でシーズンを終えることになった。
一方の浦安も4勝12敗の10位と低迷。2部3位の相模原(旧三菱重工相模原)との入れ替え戦2試合で連敗し、来季の2部降格が決まった。こうした結末には、何か〝運命のいたずら〟のようなものを感じる。
と言うのも、もともと入れ替え戦は12チーム中の11位、12位が出場する予定だったが、今季は降格が決まっている大阪を除く下位2チームが対象となったため、10位の浦安が出場することになった。
また、大阪が最終戦でBR東京に勝っていれば、そこまで総勝ち点18で9位の浦安は入れ替え戦圏外となったが、この最終戦は大阪側が「試合をやりたい」と訴えたものの、リーグ側が当日になって「試合実施に向けた両チームの合意形成ができなかった」と中止を決定。この結果、不戦勝(勝ち点5)で総勝ち点を21に伸ばしたBR東京が浦安を抜いて9位に浮上し、浦安の10位が確定したのだ。
つまり、そもそもシーズン中に再編という激震に見舞われた両チームに最後まで不運が重なったように思えるわけだ。
とはいえ、戦いが終わるわけでない。今回の再編に伴う選手の振り分けなどはまだ発表されていない(6月14日時点)が、来季は浦安は2部、大阪は3部から再起を期することになる。
大阪のフェスティバルでは、前主将のWTB茂野洸気(33)がステージに立ち、「来シーズンは必ずディビジョン2(2部)に1年で昇格し、一つでも上のディビジョンを目指してやっていくことを、ファンのみなさんの前で誓います」と決意を表明した。新たな戦いが始まる。(月僧正弥)