「沙羅双樹(さらそうじゅ)の寺」として親しまれる妙心寺の塔頭(たっちゅう)、東林院(京都市右京区)で15日、初夏恒例の「沙羅の花を愛でる会」が始まり、拝観者らが一日で散るはかなくも可憐(かれん)な花に見入っていた。30日まで。
沙羅の花はナツツバキの別名で、釈迦が亡くなった場所に植えられていたとされる。早朝に花を咲かせ、夕方には花を落とすため、世の無常の象徴として、平家物語にも「沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理(ことわり)をあらわす」と記されている。
東林院では約30本が植えられ、拝観者が緑のコケの上に落ちた白い花の色の対比を楽しんでいた。西川玄房(げんぼう)住職(83)は「新型コロナウイルス禍で、生きることの大切さを考えた人も多いと思う。一日で散る花を愛でることで、命の尊さを感じてほしい」と話していた。
午前9時半~午後4時で、拝観料が必要。問い合わせは東林院(075・463・1334)。