国税庁は15日、全国の国税局が強制調査(査察)し、悪質事案として令和3年度に検察庁へ告発した脱税事件は75件(前年度比8件減)で、総額約61億円(同約8億円減)だったと発表した。総額は統計を始めた昭和47年度以降、3年連続で過去最少を更新。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う移動制限などが調査活動に影響したという。
全体の脱税件数は103件(同10件減)で、総額約102億円(同約12億円増)。告発件数の内訳は、消費税の不正事案が21件▽無申告事案が16件▽海外に資産を隠すなどの国際事案が17件-などだった。消費税の還付制度を悪用し不正に還付を受けた事件は9件(総額約4億3400万円)で、同庁は「国庫金の詐取ともいえ悪質性が高い」としている。
また、大阪国税局が査察した脱税件数は29件(前年度比2件増)、総額約17億4500万円(同約2億9200万円増)。うち21件(同1件増)、総額約13億円(同約1億円増)を検察庁に告発した。脱税した資金の隠し場所として、他人名義で契約した銀行の貸金庫に現金2億4900万円が保管されていたケースがあったほか、1個あたり30万~300万円の高級腕時計の購入に充てられた例もあった。