「(京都で)自民の支持率は高い。だが、もっと高いのは無党派層だ。決して油断してはいけない」
5月21日、自民党が参院選京都選挙区に擁立する新人、吉井章氏(55)の集会で、京都府連会長の西田昌司参院議員が声を張り上げた。
西田氏は集まった党員を前に、党の調査で自民、立憲民主、日本維新の会、共産の各党の支持率が横並びであるとも強調。府連幹部は「陣営の引き締め」としつつ、「西田さんが気にしているのは維新」と断言した。
背景にあるのは、4月に行われた府議補選京都市北区選挙区で、維新が自民や立民、北区で強いとされる共産を抑え当選したことだ。公選法違反容疑で書類送検された自民府議の辞職にともなう選挙だったが、自民は約1700票差、共産は約3千票もの大差を付けられた。この時点で維新は参院選の候補者発表に至っていなかったが、自民では「追い風は維新にある」(自民府連幹部)との危機感が共通認識になったという。
これまで京都選挙区は改選数2の複数枠で、自民が安定して1議席をとり、残る1議席を他党が奪い合う構図が続いてきた。旧来は地盤の厚い立民と共産の争いだったが、維新の参戦が構図を揺るがしている。
自民のベテラン府議は「本来の形であれば、参院選の相手は立民と共産の2正面作戦になったはずだが、今回は維新が入って3正面になった」と話す。
一方で、自民が擁立する吉井氏は4期にわたり京都市議として活動してきたが、知名度の低さが課題。昨年9月の擁立決定後、吉井氏も積極的に支持層に売り込みを図り、府連も組織固めを進めてきた。
京都選挙区には維新を筆頭に、保守中道を掲げる政治団体も加わる乱戦となる見込みで、浮動票の行方も懸念事項の一つだ。府連幹部は「立民や共産とは違いを鮮明に出せるが、維新とは違いが出しづらい面もあり、保守票の食い合いで自民の浮動票が狙われる可能性がある」と警戒。西田氏が初当選して以来、15年ぶりの新人擁立となった今回は、自民にとっても不透明さを極める情勢となっている。(平岡康彦)
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22日公示、7月10日投開票が有力視される参院選。京都選挙区には9人が立候補し、改選数2を争う構図になる見通しだ。公示日に向け、主要各党の動きを追う。