宝塚歌劇団を12月25日付で退団すると発表した雪組トップ娘役の朝月希和(あさづき・きわ)さんが14日、宝塚大劇場(兵庫県宝塚市)で退団会見を行った。真っ白なドレス姿でマイクを握った朝月さんは「私が13年間諦めずに頑張ってこられたのは、皆さんの愛に背中を押していただいたから。本当に感謝の気持ちでいっぱいです」と語った。
東京都出身の朝月さんは平成22年に入団した。花組と雪組を行き来する3度の組替えを経て、入団12年目の昨年4月にトップ娘役に就任した。「遅咲きのトップ娘役」と話題になった来し方を、「どんなに諦めそうになっても、くじけそうになっても、歩みを止めることなく前に進もうと心掛けてきました」と振り返る。
彩風さんからは「妥協することなく」
「卒業」を決めたのは昨年、雪組トップの彩風咲奈(あやかぜ・さきな)さんとのトップコンビお披露目公演「CITY HUNTER―盗まれたXYZ―」の千秋楽後だった。「自分でゴールを決めた方が、全力で駆け抜けていけると考えました」
彩風さんに退団の意思を伝えると、「終わりが見えたからといって、妥協することなくやっていこう」と言葉をかけられたという。彩風さんの隣は朝月さんにとり、「温かくもあり、自分を磨いていかなければならないと向き合う場所」だった。「最後の日まで舞台人として精進し続け、ご恩と感謝を返せるよう、精いっぱい務めたい」と誓う。
思いがあふれてうまく言葉にできず、「すみません」とはにかむシーンも。自身はどんな娘役だったと思うかを問われると、「前向きに真っすぐ進んでいきたいと思っていた」と切り出し、控えめな笑顔でこう結んだ。「皆さんを太陽のように明るく照らしたいと、常に思いながら舞台に立たせていただきましたが…いかがでしたでしょうか」
退団公演は「蒼穹の昴(そうきゅうのすばる)」(宝塚大劇場=10月1日~11月7日、東京宝塚劇場=11月26日~12月25日)。