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子宮体がんの子宮全摘術、開腹は必須? 希望すれば腹腔鏡手術も可

産経ニュース

Q 65歳女性です。5年前に子宮頸部(けいぶ)高度異形成で円錐(えんすい)切除術を受けました。今年4月に腺がんの疑いありとのことで2度目の円錐切除を受けましたが、術後診断では腺系の異常はなく、高度異形成でした。主治医には、MRI検査で子宮頸管部の奥(体部に近い部位)に小さな疑わしい病巣があるので子宮全摘術をすすめられています。やはり、手術を受けるべきですか。

がん研有明病院婦人科の瀧澤憲医師
がん研有明病院婦人科の瀧澤憲医師

A 子宮頸部細胞がヒトパピローマウイルス(HPV)に感染して腫瘍化すると、扁平(へんぺい)上皮系の高度異形成・上皮内がんや、腺系の腺異形成・上皮内腺がんが発現します。一般的には一方向(扁平上皮系または腺系)のみの腫瘍化ですが、5~10%は双方向への腫瘍化が起きます。

閉経後に2度目の円錐切除をした場合、子宮頸管の短縮が起こるため、手術の際に医師が合併症(出血多量など)を懸念すると切除が不十分になりやすく、子宮頸管の奥へと伸びた病巣を取り残してしまうことが多いです。

主治医は、子宮頸管部の奥に病巣を取り残していると考えて、子宮全摘術をすすめたのでしょう。初期の腺がんも心配したのかもしれません。

Q 子宮全摘術もやむを得ないと考え、腹腔(ふくくう)鏡手術にしてほしいと伝えたものの、開腹手術を提案されました。そうしなければならないのでしょうか。

A 扁平上皮系の高度異形成・上皮内がんや腺系の上皮内腺がんに対しては、単純子宮全摘術(閉経後であれば両側の卵巣、卵管の摘出・切除)がすすめられます。開腹術の他に、膣(ちつ)式子宮全摘術(膣から子宮を牽引しながら子宮を支える靱帯を切除し、子宮を摘出)や腹腔鏡による子宮全摘術のいずれも健康保険の適用で可能です。膣式や腹腔鏡手術は、開腹術に比べてより医師の技術的な習熟が求められますが、腹部切開創が残らないというのはおおきなメリットです。主治医が開腹術をすすめたのは、子宮頸管の奥の病巣が腺がんかもしれないと考えたからかもしれません。主治医に術式の選択理由について詳しく説明してもらってください。

Q 低侵襲性手術(腹腔鏡手術、ロボット手術など)が普及していますが、子宮頸がんの手術には不向きなのですか。

A 早期子宮体がんについては、開腹手術と比べ腹腔鏡手術の治療成績や合併症に差がないことは、米国の大規模臨床試験で証明されました。子宮頸がん(病期がⅠa2期=頸部浸潤の深さが3ミリ超~5ミリ=とⅠb1期=がんの大きさが4センチ以内)についても両者に差がないことを期待して米国で臨床試験が実施されました。結果は腹腔鏡手術などのグループが、開腹術に比べて再発率や生存率で約10%近く劣っていました。日本の婦人科医たちは、腹腔鏡手術での再発リスクを低減する工夫を続けており、現在、日本国内で両者の比較臨床試験を実施しています。なお、現時点では、腹腔鏡手術の再発率、生存成績が、開腹術に比べて少し劣ることを受け入れた上で、あえて腹腔鏡手術を希望すれば、保険適用で腹腔鏡による子宮全摘術(通常は骨盤リンパ節郭清術も実施)が可能です。

回答は、がん研有明病院の瀧澤憲医師(婦人科前部長)が担当しました。

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