イスラエル政権発足1年 「寄り合い」崩壊の危機

産経ニュース
12日、イスラエル・エルサレムで閣僚会合に臨むベネット首相(中央)=AP
12日、イスラエル・エルサレムで閣僚会合に臨むベネット首相(中央)=AP

【カイロ=佐藤貴生】イスラエルでベネット首相率いる連立政権が発足して13日で1年となった。政治的立場が大きく異なる8党の寄り合い所帯であるため離脱する議員も現れ、国会(定数120)は与野党が60議席ずつ分け合う事態となった。首相のレームダック(死に体)化が進む中、6月末に期限切れとなる重要な法律の効力を延長できなければ政権崩壊の危機が現実味を帯びてくる。

イスラエルはロシアのウクライナ侵攻後に双方の対話を仲介したほか、イランの核問題にも影響力を持つ。政局の不安定化は国際的に波及しかねない。

ベネット氏は12日の閣議で、現政権は「崩壊しない」と強調した。しかし、ロイター通信によると、数カ月以内に前倒し総選挙が行われるとの観測も出ているのが実情だ。

エルサレムなどでは3月以降、アラブ系と治安部隊との衝突が相次いでいる。5月には衝突を取材していた衛星テレビ局アルジャジーラの女性記者が銃撃され死亡する事件が起きた。

政権にはユダヤ人右派や中道、パレスチナ人らアラブ系の政党が加わり、内部対立が深刻化している。

6月6日には占領地ヨルダン川西岸のユダヤ人に法的地位を保証する法律の効力延長が賛成52、反対58で否決され、政権の求心力低下が浮き彫りになった。

イスラエル有力紙ハーレツ(電子版)などによると、同法は第3次中東戦争(1967年)でイスラエルが西岸を占領して以来、5年ごとに効力が延長されてきた。失効すれば西岸に入植するユダヤ人は同国の国内法の適用対象外となり、選挙の投票や国民保険への加入ができなくなる。政治や社会に影響が及ぶことは避けられず、政権運営は極めて困難になる。

事態を複雑にしているのがネタニヤフ前首相の存在だ。ネタニヤフ氏と最大野党の右派「リクード」は西岸でのユダヤ人入植を支持しており、本来ならば法律の効力延長に賛成するはずが、現政権の崩壊を狙って反対に回ったとされる。

与党各党は、12年間にわたって首相の座にあったネタニヤフ氏を退陣させることを最大の目標に結集した。しかし、与党内の対立で同氏に再び追い風が吹きつつある。現地メディアが5月下旬に発表した世論調査結果では、首相として好ましいのはネタニヤフ氏との回答が46%で、ベネット氏は21%にとどまった。

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