コロナ禍とウクライナ侵攻で日本の寄付文化に変化 「助け合い」に広がり

産経ニュース

長引く新型コロナウイルス禍の中で、これまで遅れが指摘されてきた日本の寄付文化に変化の兆しがみられる。支援団体による街頭募金活動が縮小を余儀なくされる一方、個人寄付額は過去最高を記録。ロシアの軍事侵攻が続くウクライナにも「助け合い」の輪が広がる。ただ、欧米との寄付額の差は依然大きく、学校教育や安心して寄付できる制度づくりを求める声も出ている。

コロナ前を上回った緊急募金

病気や災害などで親を失った子供の教育支援を行う「あしなが育英会」は、奨学生らが街頭で寄付を募る「全国募金リレー」を主な収入源としてきたが、コロナの流行拡大で中止を迫られた。一方、コロナ禍による生活苦で奨学生は過去最多の8千人超に上り、支出が増加。さらに令和2年には全奨学生を対象にした総額25億円の緊急支援を行ったこともあり、基金の減少は深刻な状態に陥った。

機関誌やインターネットなどで緊急募金を呼びかけたところ、令和2年度に約70億円、3年度にも約50億円が集まった。年間35億~45億円で推移していたコロナ禍前を大幅に上回っており、川本淳(あつし)広報部長は「奨学生の学びが危機にあることを心配してもらった」と感謝する。5月中旬には2年半ぶりに全国募金リレーも再開した。

盲導犬の育成などに取り組む「日本盲導犬協会」でも街頭募金の自粛で年間の募金額が9割減ったものの、個人や企業の寄付で補うことができたという。東京事務所渉外担当の横江湧真(ゆうま)さんは「コロナでみんなが等しく大変なときに、温かい支援や応援をいただいた」と語る。

クラウドファンディング浸透

NPO法人「日本ファンドレイジング協会」の調査によると、コロナ禍の令和2年の個人寄付総額は1兆2126億円に上り、前回調査(平成28年、7756億円)の約1・5倍に。東日本大震災が起きた23年の1兆182億円を上回り、過去最高となった。

増加分はふるさと納税の利用拡大が大きいが、コロナ関連の寄付では20代と40代がトップで、若者の寄付が広がったという。

鵜尾(うお)雅隆代表理事によると、日本のボランティア元年は7年の阪神大震災の被災地支援。東日本大震災では現金での寄付だけでなく、インターネットで資金を募る「クラウドファンディング」が浸透し、コロナ禍では経営者ら富裕層の寄付意欲も高まっているという。

米国の寄付総額は日本の30倍

ロシアのウクライナ侵攻後は、わずか3カ月で在日ウクライナ大使館への寄付が50億円を突破。鵜尾さんは「危機意識の高まりを寄付の形で示すという、日本ではこれまでなかった寄付行動が見られた。災害や戦争などの悲惨な体験や見聞を経て、日本の寄付文化は成長している」と指摘する。

ただ、米国の寄付総額は年間3200億ドル超で、日本の約30倍に上る。

鵜尾さんは背景を「米国は国の成り立ちから協働の精神が根付き、寄付やボランティアなどの社会貢献について学校で学ぶ機会がある」と説明。「日本でこれまで以上に寄付文化を高めるには、教育や税制面の改革、寄付先への不安を解消する取り組みが必要だ」と強調した。(本江希望)

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