主張

持続化給付金詐欺 不正防ぐデジタル化急げ

産経ニュース
インドネシア入管当局が開いた記者会見に背を向けたまま同席する谷口光弘容疑者(左から2人目)=8日、ジャカルタ(共同)
インドネシア入管当局が開いた記者会見に背を向けたまま同席する谷口光弘容疑者(左から2人目)=8日、ジャカルタ(共同)

新型コロナウイルス対策の持続化給付金を詐取したとして警視庁が詐欺容疑で指名手配していた男が、逃亡先のインドネシアで不法滞在容疑で逮捕された。

男は約10億円を不正受給した詐欺グループの主犯とみられる。インドネシア当局の迅速な対応に感謝したい。

犯行は、新型コロナ禍の影響に苦しむ個人事業主や中小企業を支援するためスピードを優先し、煩雑な手続きを排して簡易な審査で給付を受けられるシステムに付け込んだものだ。制度導入の際、当時の安倍晋三首相は「性善説で入金を進める」と述べていた。

ここでいう「性善説」とは、不正受給はないという前提の制度という意味だ。だが、給付金詐欺の摘発は全国で相次いでいる。

なかでも今月、東京国税局の職員とOBを含むグループが摘発されたのをはじめ、甲府税務署職員や大阪国税局OBも逮捕された。持続化給付金をめぐっては昨年、警視庁が経済産業省の若手キャリア2人を詐欺容疑で逮捕し、有罪判決が確定している。

国民に奉仕する立場の国家公務員らが専門知識を利用し、税金を詐取する倫理観のかけらもみられぬ犯行には、怒りを通り越して情けなくなる。

一連の犯行に名義を貸した多くの関係者も犯意の認識に濃淡はあれ、加害側の立場にある。世の中にそんなにうまい話はない。刑事罰を逃れたとしても、詐取金額を速やかに返済すべきは当然だ。

規制緩和や手続きの簡素化は事後チェックの強化とセットでなくてはならない。警察、国税などの当局は今後も摘発に全力を挙げて制度の悪用を摘発してほしい。

同時に、緊急事態の急場しのぎ的措置を経て、平静を取り戻しつつある今こそ、抜本的に制度の再構築を急がなくてはならない。

具体的には、マイナンバーと銀行口座のひもづけなど、利便性と不正防止を両立させる、デジタル化の徹底である。

デジタル化は菅義偉前政権の看板政策だったはずだが、進捗(しんちょく)状況はどうなっているのか。とんと成果がみえてこない。足元の行政のデジタル化でさえ進んでいないのが現状ではないのか。

社会の公正公平を保つためにはデジタル化が必要である。これを再認識させられた一連の許し難い犯行であるともいえる。

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