2月1日に死去した元東京都知事で作家、石原慎太郎さん(享年89)の「お別れの会」が9日、東京都内のホテルで開かれた。多方面で活躍した慎太郎さんらしく、政財界からスポーツ、芸能分野の関係者ら一般も含め約5000人が参列した。プロ野球ソフトバンクの王貞治球団会長(82)は少年野球を通じて交流があり、「こういう日が来てしまって残念」と惜しんだ。
政治、文学、スポーツ、絵画…。芥川賞作家にして運輸相、東京都知事などを歴任しマルチな才能を発揮した慎太郎さんの死から約4カ月。さまざまな分野の参列者が悼んだ。
「大変お忙しい人生だったと思う。今日もものすごく多くの方が来られて、それだけ皆さんから慕われていた」
この日のために福岡から駆けつけた王会長が、慎太郎さんの幅の広さをこう表現した。2人は、少年野球を通じた絆で結ばれていた。
王会長はメジャーリーグのホームランキング、ハンク・アーロンさん(2021年死去、享年86)とともに1990年に「世界少年野球大会」を立ち上げた。以後毎年開催され、2010年東京大会の前年に開催されたプレ大会では、都知事だった慎太郎さんが始球式に登場。見事な空振りを披露した。
「すごく野球が好きで、応援していただいた。子供のことはしっかりやってあげなさいと(言われた)。東京で大会をやったときも何度もお会いして説明して、『続けなさい』と激励された」。王会長は遺影に向かい「もっと根を張って、幅広くやれるようにします」と、少年野球振興を誓ったという。
慎太郎さんは湘南高時代にサッカー部、一橋大時代は柔道部とサッカー部を兼務。趣味でヨットやテニスなどもこなすスポーツマンだった。弟で俳優の石原裕次郎さん(1987年死去、享年52)を通じて元プロ野球巨人の長嶋茂雄氏(86)=現・巨人終身名誉監督=とも親交があった。