2020年―コロナ禍でマルチロールに進化! ソラノイロの大戦略

SankeiBiz

文明開化、戦後直後のヤミ市では屋台からラーメンが立ち上がり、たくましく営業。その後、現代ラーメンは店舗でのイートインを主軸に発展していく。では、これからラーメン店はどのような形態で客を迎え入れていくのか。その時代に出現したラーメン店を軸に日本経済の興隆と変貌、日本人の食文化の変遷をつぶさに見ていく本連載。今回はコロナ禍に見舞われた2020年のラーメン業界にフォーカス。未曾有の危機に際し、新たな店舗像を模索した『ソラノイロ ARTISAN NOODLES』に迫る。

厨房から見通す明日がパンデミックに煙る

COVID-19――新型コロナウイルスの災禍と共に記憶されるであろう、2020年。パンデミックを経て、私たちの生活は一変した。国内で感染が拡大し、緊急事態宣言の発出や外出自粛が広がった3~9月は家計の外食支出額が前年を下回り、特に4月は前年比6割減まで落ち込んでいる。密集が敬遠され、テレワークの浸透もあってオフィス街のカフェ業態は苦境。

東京、埼玉、千葉、神奈川の首都圏1都3県の各知事が緊急事態宣言の発令を政府に要請したことを伝える東京・渋谷の大型ビジョン=2021年3月
東京、埼玉、千葉、神奈川の首都圏1都3県の各知事が緊急事態宣言の発令を政府に要請したことを伝える東京・渋谷の大型ビジョン=2021年3月

また、2019年には約3188万人もの外国人観光客が日本を訪れたが、2020年の訪日外国人観光客は約411万人。約2800万人ものインバウンド需要が蒸発したのだ。外食産業は総じて経営環境の悪化を強いられたが、それはラーメン店も同様である。ソーシャルディスタンスによる減席、時短要請による営業時間の制限――いずれも、来客数×ラーメン単価を基本に営業成績を作り出すラーメン店には大きな痛手となった。

帝国データバンクによると、2020年におけるラーメン店の倒産数は46件と過去最多を更新した。家系の強豪『六角家本店』(神奈川)、福岡県でインバウンド需要を獲得していた『長浜将軍』(福岡県)など、有力店も大きな打撃を受けている。大手ラーメンチェーンも業績は厳しい。上場する大手ラーメンチェーン店のうち4社が20年度決算は経常赤字となってしまった。ハイデイ日高(『日高屋』など)は上場以降初めて当期純利益が赤字に転落し、幸楽苑ホールディングスも21年度3月期の売上高は前年比で3割超の大幅減収となった。無論、小規模の個人商店はさらに厳しい経営環境に追い込まれただろう。

厳しい状況のなか、打開の一手を求めた外食業界。デリバリー&テイクアウトへ、そしてECによって商圏を超えた販路拡大に活路を見出す。2020年のデリバリー市場は前年比で約50%増。6264億円のマーケットとなった。同じく、通販市場は前年比で約20%増という急伸。おうち時間に沈殿した消費者が各種フードをオーダーしまくった状況が推察できる。コロナ禍によって否応なく進んだ消費スタイルの激変。戦後の混乱期やオイルショック、東日本大震災といった危機をたくましく乗り越えてきたラーメン業界は、適者生存戦略を取ることができたのだろうか?

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