全日本空輸は9日、7~8月の羽田空港発着の国内線全便を減便せずに今年度の当初計画通り運航すると発表した。臨時便を含めた便数は新型コロナウイルス禍前を上回る。コロナ禍が本格化した令和2年3月以降、ゴールデンウイークやお盆期間などを除いて初の全便運航となる。依然として運航率が3割未満の国際線と比べ、国内線の需要回復が鮮明になった。
全日空によると、7月1日から8月31日の羽田発着便数は臨時便込みで2万3830便(計画)。コロナ禍前の令和元年同期(2万3475便)の実績を上回る。7月1日のみ羽田-岩国で1便の減便があるが、2日から全便を運航する。
航空会社は新年度が始まる前に事業計画を策定し、その都度、直前の需要などに応じて便数の増減を決める。今年度の国内線の計画便数は、コロナ禍が本格化する直前に策定された2年度計画比で約9割の水準となっている。うち7月の運航率は2年度比で95%、8月は94%に上っている。
今後も減便が続く路線は成田空港などと各地を結ぶ乗り継ぎで利用される国内便が主な対象となり、なお続く国際線の減便が影響した形となった。
現時点で旅客数はコロナ禍前の6割だが、7~8月は8割に上昇することが見込まれ、同社は7月だけで160便の臨時便を設定。今後も追加設定を検討している。同社は今月10日から期間限定の格安航空券を販売し、夏の旅行や帰省の需要を後押しする考えだ。(福田涼太郎)