慟哭のウエディングドレス 飲酒事故で娘を亡くした両親の思い

産経ニュース
ウエディングドレスの展示準備をする江角由利子さん(左)と弘道さん=松江市
ウエディングドレスの展示準備をする江角由利子さん(左)と弘道さん=松江市

平成11年12月、飲酒運転の事故で、娘の江角(えずみ)真理子さん=当時(20)=を亡くした島根県出雲市の住職、江角弘道さん(77)と母親の由利子さん(74)は長年にわたり、飲酒運転の撲滅と命の大切さを訴える活動を続けている。夫婦は全国を駆け回り、県内での講演活動は400回を超えた。夫婦は「交通事故の加害者にも被害者にもならないでほしい」と訴え続ける。

被害者遺族同士の支え

「真理子が亡くなった直後は、近所のスーパーで知人に声をかけられることすらつらく、妻は人目を避けてあえて遠くのスーパーまで買い物に行っていました」

5月下旬、島根大学(松江市)で開かれた講義「犯罪被害者の実情、命の大切さの理解」で弘道さんが学生約60人に語り始めた。

事故は、鳥取県智頭町の国道で、真理子さんら鳥取大生4人が乗った軽乗用車に飲酒運転の乗用車が対向車線から突っ込み、3人が亡くなった悲惨なものだった。家族は悲しさ、無念さ、怒りなどの感情が入り交じり、つらい日々を送った。

20歳で亡くなった江角真理子さん

僧侶である弘道さんは、法事などに招かれた際、読経の途中で真理子さんのことが頭をよぎり、涙で声が詰まったことがあった。

「妻は『私の命を代償にして、真理子の人生をもっと長くしてほしかった』と落ち込みました。1人の死は、その人だけの将来、人生を狂わせるのではない。縁のある多くの人が影響を受ける。自分の命は、自分だけのものではないのです」

江角さん一家が立ち直るきっかけになったのは一冊の本との出合いだった。交通事故でわが子を失った親たちの手記を掲載した本「遺(のこ)された親たち」だ。

この本を起点に他の被害者遺族と知り合い、苦しみを共有することで救われる思いがした。そこで、ともに理不尽な死を二度と起こしてはいけないと訴える活動に参加することにした。

その活動は、刑法改正につながっていく。

島根大で講義を行う江角弘道さん=松江市

加害者にもならないで

飲酒して車を運転し、真理子さんらの命を奪った加害者は、業務上過失致死傷罪などで起訴され、懲役4年の求刑に対し、懲役3年の判決が下された。当時、飲酒運転によって人を死亡させても最高刑は懲役5年だった。

「あまりにも量刑が軽すぎる」と弘道さんらは法律の改正を求め、署名活動を行った。全国から37万人を超える署名が集まり、当時の森山真弓法相に提出。そして、平成13年に危険運転致死傷罪が設けられ、最高刑で懲役15年(現在は同20年)を科すことが可能となった。

「みなさん、車を運転することがあると思いますが、『加害者にならない』と今、決意してください」

弘道さんの強い言葉に学生たちがハッとした表情を見せた。

事故の加害者にも被害者にもならないでほしいというのが、弘道さんと由利子さんの願いだ。大学で英語を専攻し、就職活動の準備をしていた真理子さんは、夢だった英語を生かした仕事に就くことはできなかった。

「夢をかなえるためには、死なないで。生きてください」

弘道さんは、講義をこう締めくくった。

島根大の講義で展示された江角真理子さんのパネルと遺品の靴

母の切ない思い

講義を終えた2人は、島根大付属図書館で、12日まで開かれる企画展「命の絆展」(島根県警本部など主催)の準備に向かった。企画展は事故や犯罪によって命を奪われた人の遺品から命の重さを考えてもらおうと開催されている。

由利子さんは、淡いピンクのウエディングドレスを飾った。真理子さんの死後に購入したドレスだ。事故後、通った病院の隣のリサイクルショップに飾られていて、「どうしても真理子に着せてやれなかった後悔から、思わず買ってしまった」という。

ドレスの横には「43歳の真理子へ」という由利子さんのメッセージがあった。いとこの赤ちゃんを抱く真理子さんの写真が添えられ、「あなたの子供が見たかった。このウエディングドレスと写真は望みがかなえられなかった母の切ない思いの象徴です。どうか、この世の中でこんな思いをする人がいなくなりますように」と記されていた。

このドレスは、全国で開かれる交通事故や犯罪被害者の遺族らによる展示会でも飾られる。夫婦は年齢を重ね、若いころのようには体が動かない。新型コロナウイルスの感染拡大で、県外での活動も難しい日々が続く。

それでも弘道さんは言う。「体が動くうちは、命の大切さを伝える活動を続けたい。それが真理子がくれた私たちの第二の人生でもあるからです」(藤原由梨)

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