欧州中央銀行(ECB)が9日の理事会で、7月の主要政策金利の引き上げと量的金融緩和政策の終了を決めた。すでに米連邦準備制度理事会(FRB)は利上げを始めており、大規模な金融緩和を続ける日本銀行と他の主要中央銀行との姿勢の差が、さらに鮮明となった。金利差の拡大が止まらず、円安が進んで日本国内の物価高に拍車がかかる可能性がある。
主要国の中銀は新型コロナウイルス感染拡大に対処するため、大規模な金融緩和を進めた。大量に債券を購入して市場に資金を供給し、長期金利の上昇を抑えるといった形をとった。
だが、過剰にお金が出回ることでインフレが加速しかねず、各中銀は金融政策の引き締めに転じた。FRB、ECBのほか、英イングランド銀行(BOE)も段階的に利上げを進めている。
日銀は景気の下支えが必要との立場を堅持している。黒田東彦総裁は6日の講演でも「揺るぎない姿勢で(金融)緩和を続けていく」と強調した。
今後、米欧の金利の有利さが意識されて円が売られ、円安が進んで輸入物価がさらに上昇しそうだ。日銀に対しては、金融政策を正常化すべきだとの声が強まる可能性もある。