宮城県が進める仙台医療圏4病院の再編をめぐり移転候補地が県側に提案されたことを受け、富谷市への移転が検討されている東北労災病院(仙台市青葉区)職員らでつくる「東北労災病院を守る会」は9日、計画撤回を求める声明文を公表し、県に提出した。
声明は村井嘉浩知事が移転候補地の提案を受けたことについて「県民世論に鑑みず、検討状況すら開示せず、既成事実を積み重ねるやり方は、決して許されない」と強調。その上で、4病院再編を主導する村井氏を「県民の命と健康に直結する病院再編を語る資格はない」と断じた。
守る会幹部で同病院の元職員は、応対した県職員に「富谷市に行けば、冬は(車通勤の際)スリップが大変。通えなかったら、退職を考える人もいると思う。移転は反対だ」と声を振るわせた。
守る会事務局長を務める県医療労働組合連合会(医労連)の小玉高弘書記長も「病院で働く医療従事者は通勤ができるのかを心配している。移転統合の話が具体的に進めば退職を考える職員も多くいるだろう」と訴えた。
県の構想では、同病院は県立精神医療センター(名取市)と合築され富谷市に、県立がんセンター(名取市)は仙台赤十字病院(仙台市太白区)と統合し名取市に移る。富谷、名取の両市は5月27日、新病院の建設候補地に富谷市明石台、名取市植松入生の両地区をそれぞれ県に提案している。