ベテラン記者コラム(304)

「團十郎」を襲名する市川海老蔵、白鵬の一番に涙した日

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市川海老蔵
市川海老蔵

歌舞伎の大名跡が、9年ぶりに復活する。歌舞伎俳優の市川海老蔵(44)が「13代目市川團十郎」を11月に襲名し、12月にかけて披露公演を東京・歌舞伎座で開くことがさきに発表された。襲名は当初令和2年に予定されたが、コロナ禍の影響で延期されていた。

歌舞伎の大名跡のなかでも、「成田屋」の團十郎は別格とされる。江戸時代初期に活躍した初代團十郎をはじめ歴代が名優ぞろいで、初代は「荒事(あらごと)」といわれる荒々しく豪快な歌舞伎の演技を生みだし、江戸歌舞伎の創始者とされる。2代目は1000両という破格の出演料を得たことから「千両役者」の言葉を生んだ。明治時代に活躍した9代目は明治天皇の前で演じる「天覧劇」を初めて実現。「劇聖」と呼ばれる。

平成28年の大相撲九州場所4日目。海老蔵は歌舞伎俳優の中村獅童とともに、当時3歳だった長男・勸玄(かんげん)君を連れて会場の福岡国際センターへ観戦に訪れた際、その場に居合わせた。親交のあった横綱白鵬(当時、現間垣親方)に勸玄君を抱いてもらい、うれしそうに写真を撮っていた姿を思い出す。その白鵬は前日に史上3人目の通算1000勝を挙げたばかりで、海老蔵は打ち出し後、1001勝目を挙げた横綱を祝福するため支度部屋へ足を運んだ。

白鵬が同年3月の春場所千秋楽で4場所ぶり36度目の優勝を飾ったとき、海老蔵は自身のブログにこんな感想を寄せている。

「結びの一番の内容に色々思う方もいらっしゃるかもしれませんが、優勝インタビューでの横綱の言葉に私は涙しました。苦しかったんだな、と、無言の中で多くを語っていた。今に向き合ってる横綱の姿に様々な事を学びました」(原文のまま)。

この千秋楽結びの一番では、白鵬は横綱日馬富士と対戦。立ち合いで左へ変化して優勝を決めたことで、熱戦を期待した館内には怒りのやじと大きなブーイングが起こった。優勝直後の土俵下でのインタビュー。白鵬は注文相撲をみせたことに「すみません…」と言葉を詰まらせ、「8カ月の長い間、優勝から遠ざかっていたので。本当に申し訳ないと思います」。左手で目頭を押さえ、泣いて頭を下げた。

横綱や大名跡を名乗る者には「品格」が求められ、ときに発言や立ち居振る舞いが批判にさらされることがある。だが、結果を出せない横綱には引退するしか道はない。海老蔵は、なりふりかまわず勝利を欲した白鵬の姿と、芸事を窮めようとする自らを同調させたのだろう。

千葉・成田山新勝寺は初代團十郎の祈願を成就させたことが縁となり、市川家は「成田屋」の屋号を使うようになった。白鵬が現役時代、2月には同寺の「節分会(せつぶんえ)」で、毎年のように海老蔵と顔を合わせて豆まきを行っていた。頂上に立ってみなければわからない景色を、そのころの横綱から学んでいたのかもしれない。(奥村展也)

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