主張

池田小事件21年 教訓の放置は許されない

産経ニュース

学校内で児童8人が刺殺され、教員を含む15人が重軽傷を負った大阪教育大付属池田小の児童殺傷事件から、8日で21年になる。事件の教訓は生かされたのか。そうとはいえまい。

国と学校は安全管理の不備を認めて謝罪し、元死刑囚の男の刑は約3年後に執行された。

だが、再発防止策は不十分なままだ。悲しい事件を二度と起こさないため、社会が真摯(しんし)に向き合う必要がある。

21年前、閑静な住宅街にある校舎で、2時間目の授業が終わるころ、包丁を手にした男が徒歩で校内に侵入し、次々と子供らを刺した。男性教諭が止めようとタックルしたが切りつけられて倒れた。椅子を投げつけられても、男は凶刃を振り回し続けた。

男はそれまでも粗暴な犯行を重ねていたが、精神科病院に通院歴があり、大半が不起訴や罰金刑となっていた。事件の2年前には勤務先の同僚4人に薬物入りの茶を飲ませたとして傷害容疑で逮捕されたが、統合失調症と診断されて不起訴となり、精神保健福祉法に基づく措置入院は、わずか39日間で退院した。そして、池田小事件を起こした。

事件を機に、重大事件を起こしながら精神障害で不起訴・無罪になった人の処遇に司法が関与する仕組みを定めた心神喪失者等医療観察法が成立した。だが、平成28年には相模原市の障害者施設で、措置入院から退院した元職員の男に入所者19人が刺殺された。

相模原の事件後、当時の安倍晋三首相は精神保健福祉法の改正に意欲を示した。措置入院患者の退院後も支援を継続する仕組みに言及したが、「人権侵害だ」「治安維持の道具にするな」といった反発が強く、抜本的な法改正には至ってはいない。

凶器と殺意を持った犯人から子供たちを守るのは難しい。池田小事件は、男が校内に侵入してからわずか数分間の出来事だった。学校に要塞のような高い塀や最先端の防犯設備を整えても被害を完全に防ぐことはできない。

オランダやドイツでは社会防衛を目的とした「治療処分」が制度化されている。いまだに悲惨な事件の再発防止に資する法改正が実現しないのは国会、行政、司法の不作為といえる。

事件が残した課題や教訓を放置することは許されない。

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