和歌山県田辺市が職員の腰痛対策などのために事務椅子の代わりに本格導入した「バランスボール」について、市職員共済会が購入希望者を募ったところ、市職員ら68人が70個を申し込んだことがわかった。購入は自費。導入を提案した西貴弘総務部長は「予想外の多さ」と驚いており、市職員に今後「さらにバランスボールが広がる可能性がある」とみている。
バランスボールは空気を入れて使う球形のビニール製器具で、不安定だが、座ることで、姿勢が改善されるとされる。
市は、希望する職員が自費で購入した場合、職務中の使用を昨年10月28日から試験的に認め、市長室や副市長室、総務部長室など14部署に15個を設置。「今後も継続したい」との声が多かったことから、今年2月1日から本格導入し、自費購入すれば全職員の使用を認めていた。
市職員共済会は職員の福利厚生を担っており、職員から「まとめてバランスボールを購入してほしい」との声を受け、購入者数を把握した上で一括購入することを決定。5月12~26日に受け付けたところ、職員ら68人が70個を注文した。「職場のほか、家でも使いたい」として2個注文した人も2人いた。市役所のほか、合併前の旧町村に置かれている本宮、中辺路、大塔、龍神の各行政局などで働く職員からも注文があった。
市職員共済会常務理事を兼ねる市職員労働組合の玉置晋也書記長(30)は「バランスボールを買ってもらうきっかけにしたかった」と狙いを説明。「購入者に、使い心地についてアンケートも実施したい」としている。
製品は直径55センチ、65センチ、75センチの3種類から選べ、価格は55センチが2800円、65センチと75センチが3千円。
65センチを注文した商工振興課創業立地推進係の西畑拓係長(49)は「もともと腰が悪く、バランスボールを購入したいという気持ちがあった」とし、「一括購入するのでこの機会に買ってみようと思った。ずっとバランスボールに座るのはしんどいので、椅子と半分ずつで使っていきたい」と話した。
玉置書記長は4月1日に書記長に就任し、同月上旬にはバランスボールを使い始めており、「自分の席に座るときは100%バランスボールで、ときどきあった腰痛がまったくない」と効果を実感している。
バランスボールの本格導入は自治体としては異例。市によると、市職員数は4月1日時点で906人。本格導入後、使用者がどれだけいるか統計をとっていないが、使い始めた職員は複数人いるという。(張英壽)