松野博一官房長官は6日の記者会見で、政府が保有を検討する敵基地攻撃能力を「反撃能力」と初めて表現した。反撃能力は自民党が提言した名称で、岸田文雄首相や岸信夫防衛相らも使い始めている。首相や主要閣僚が率先して口にすることで定着を図り、従来の「敵基地攻撃」が持つ先制攻撃のイメージを払拭する狙いがありそうだ。
「いわゆる反撃能力も含め、あらゆる選択肢を検討し、今後も防衛力の抜本的な強化に取り組んでいく」
松野氏は6日の記者会見で、北朝鮮による5日の弾道ミサイル発射への対応を問われ、こう答えた。岸氏も5日、記者団に「反撃能力」と発言した。両氏ともこれまでは「敵基地攻撃能力」を使用していた。
首相は先んじて反撃能力の名称を使っている。5月23日の日米首脳会談で保有に向けた意思を伝達。それ以降の国会答弁でも繰り返し言及している。
反撃能力は、4月に自民党が政府に提言した。攻撃対象が必ずしも「敵基地」に限らないことや、先制攻撃には当たらないことを明示すべきだとの観点から改称が必要と判断した。政府はこの提言も踏まえ、正式な名称を年末に改定する「国家安全保障戦略」の議論の中で決める方針だ。