【台北=矢板明夫】中国で民主化運動が弾圧された天安門事件から33年を迎えた4日、香港中心部のビクトリア公園で2019年まで実施されていた犠牲者追悼集会は今年も見送られた。集会は20年に施行された香港国家安全維持法(国安法)に違反する可能性があるため、主催団体が当局に開催を申請しなかったという。香港メディアによると、公園周辺は早朝から大勢の警察官が配置され、警戒に当たっていた。
公園での追悼集会は、19年に香港で大規模な反政府デモが起きたのを受け、20年から「新型コロナウイルス禍対策」などを理由に開催が禁止された。当局は、同年に集会を開こうとした民主活動家ら少なくとも24人を起訴。その一部には有罪判決が下された。
集会を長年主催してきた民主化団体、香港市民愛国民主運動支援連合会(支連会)の元主席で、現在は投獄されている李卓人氏は、香港メディア「明報」の書面インタビューに「4日は獄中で一日中ハンガーストライキを行い、犠牲者を追悼する」と表明した。
一方、台湾の複数の人権団体は香港の集会を引き継ぐ形で4日に台北市中心部で追悼集会を開催。台湾の蔡英文総統も同日、フェイスブック上で「横暴な手段で人々の記憶を消し去ることはできない」と集会を禁止する中国政府を批判し、「権威主義が拡大しているからこそ、民主と自由の理念を共有する国際的なパートナーと協力していくことが必要だ」と訴えた。