記者発

「侃侃諤諤」が懐かしい今の国会 政治部・千葉倫之

産経ニュース
国会議事堂=東京都千代田区
国会議事堂=東京都千代田区

5月の連休明けから政治部の野党担当になった。以前にも担当していたことがあり、約1年半ぶりの復帰だ。

野党担当は、とにかく内輪もめ、離合集散、ドタバタ劇の取材に追われる仕事だ。前回の担当時は、旧民主党勢力(旧立憲民主党と旧国民民主党)の再結集に向けた動きに振り回された。共産党を含めた枠組みのもと、野党はスクラムを組んで安倍晋三政権への対決姿勢を打ち出し、モリカケ疑惑や「桜を見る会」問題などの追及に明け暮れていた。ともあれ、にぎやかなことはにぎやかだった。

ところが、久しぶりに戻った野党取材の現場は、すっかり様変わりしていた。国会で予算案や法案の審議は淡々と進み、成立を遅らせようと審議拒否で抵抗する姿もない。野党議員が集団で役人を追及する様子に批判も強かった「野党合同ヒアリング」も開かれていない。立民国対幹部に政治状況を尋ねたところ「まったくの凪(なぎ)」。参院選の公示まで1カ月を切っているにもかかわらず、これほど熱気のない国会は初めてだ。

対決ムードが盛り上がらない理由の一つが、首相のスタイルの変化にあるのは確かだろう。安倍晋三元首相、菅義偉前首相は向こう気が強く、野党やメディアの追及に顔色を変えて反論することもあった。岸田文雄首相は物腰柔らかく、前任者らのような攻撃性を感じさせない。国会では「検討している」を連発して「検討使」と揶揄(やゆ)されながらも答弁は安定しており、「のれんに腕押し」と野党を悔しがらせている。

そして、野党トップの交代も大きい。立民の枝野幸男前代表は衆院選敗北を受けて退任し、泉健太代表が就任して半年になる。泉氏も首相と似たところがあって、人当たりのよい男前だが、政治家としての個性やこだわりがいまひとつ伝わってこない。党運営では枝野路線を転換し、スキャンダル追及より政策提案を重視するスタイルだが、「物分かりの良さ」が迫力不足につながっている面がある。ある野党関係者は「岸田対岸田みたいなものだから盛り上がらない」と解説する。

政治の本質は権力闘争だ。政策論争も政局と結びつくからこそ盛り上がり、推進力が生まれる。もっと国会に活気がほしい。

【プロフィル】千葉倫之

平成14年入社。千葉総局、秋田支局、東北総局、東京本社整理部、社会部を経て22年11月から政治部。現在野党キャップ。

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