奨学金の返済をめぐり、保証人へ過払い分を支払うよう日本学生支援機構に命じた札幌高裁判決を受け、機構は3日、原告以外にも過払いがある保証人約2000人に計約10億円を返還すると明らかにした。
機構によると、返還対象者は、データが残っている平成29年4月以降に返済が終わった保証人や返済中の保証人。今月中旬から連絡し、順次返還手続きを進める。同年3月以前に返済を終えた保証人も証明する資料などがあれば、返還される可能性がある。
訴訟では連帯保証人を含む人数で割った分しか返済義務がない民法上の「分別の利益」が適用されるか争われた。奨学金を借りた本人と連帯保証人が返済できない場合、機構は保証人に全額返済を請求していた。
5月19日の札幌高裁判決は「共同保証人がいる場合、分別の利益により債務額は当然に減額される」と指摘した。機構も原告側も上告しない。機構は今後、保証人には返済義務のある半額しか請求しない。