航空自衛隊のF15戦闘機が1月、石川県の小松基地から離陸直後に墜落し、乗員2人が死亡した事故で、空自は2日、ともに機体の姿勢を錯覚する「空間識失調」に陥った可能性が高いとする調査結果を発表した。
空自によると、離陸してすぐに雲の中に入って上昇していた際、機体が異常に右に傾き、高度も下がったのに、空間識失調の影響で、立て直すのが間に合わず墜落したと推定している。機体そのものの異常はなかったと判断した。
墜落したのは離陸から53秒後。墜落の19秒前から傾き始め、回復操作をしたのは2秒前だった。墜落直前の速度は時速720キロだった。
事故は1月31日午後5時半ごろ発生。小松基地の西北西約5キロの洋上に墜落した。戦闘機パイロットを指導する通称「アグレッサー部隊」の田中公司1等空佐(52)=空将補に特別昇任=が前方の席で操縦桿(かん)を握っていたとみられる。後ろの席には植田竜生1等空尉(33)=3等空佐に特別昇任=が乗っていた。