東京電力福島第1原発事故で自然豊かな地域での生活を奪われたとして、旧緊急時避難準備区域の福島県田村市都路地区の住民ら545人が、国と東電に計約60億円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、福島地裁郡山支部(本村洋平裁判長)は2日、東電に賠償を命じた。国への訴えは退けた。
訴状によると、原告側は山菜採りなどの楽しみや住民同士のつながりが失われ、精神的損害を受けたと主張。これまでの東電の慰謝料では不十分として1人当たり1100万円を請求した。
原発の状況が急変した場合、速やかに屋内退避や避難ができるよう求めた緊急時避難準備区域は、平成23年4月に原発の20~30キロ圏を中心に設定、同年9月に解除された。