リレー侍か新星か 日本選手権が占う陸上短距離の未来

産経ニュース
バトンミスで途中棄権となり、呆然とする(右から)多田修平、桐生祥秀、山縣亮太、小池祐貴=昨年8月6日、国立競技場
バトンミスで途中棄権となり、呆然とする(右から)多田修平、桐生祥秀、山縣亮太、小池祐貴=昨年8月6日、国立競技場

陸上の花形種目である男子100メートル。9秒台の自己記録を持つ日本選手は、9秒95の山縣亮太(セイコー)、9秒97のサニブラウン・ハキーム(タンブルウィードTC)、9秒98の桐生祥秀(日本生命)小池祐貴(住友電工)の4人を数え、年を追うごとに記録への注目が高まっているが、今季に限っては一様にエンジンがかかっていない。今年7月の世界選手権(米オレゴン州)の参加標準記録である10秒05の突破者はいまだなし。6月9~12日に大阪市のヤンマースタジアム長居で開催される日本選手権での巻き返しに期待がかかる。

参加標準突破者ゼロ

昨年は山縣が6月6日の布勢スプリント(鳥取)で9秒95の日本新記録をマークし、東京五輪に向けて日本男子短距離勢への期待感が高まった年でもあった。ただ、山縣は五輪後の昨年10月に右膝の手術に踏み切り、今季はまだ復帰の見通しが立っていない状態。5月25日に自身のツイッターに「来年、再来年に向けて改革中なので、もう少し時間をいただけると幸いです」とつづり、日本選手権の欠場を表明。世界選手権の代表入りは厳しい状況となった。

桐生は4月24日の出雲大会(島根)を10秒18で制したが、右太ももに違和感が出たため、大事を取って同29日の織田記念国際(広島)と5月8日のセイコー・ゴールデングランプリ(東京)を続けて欠場した。東京五輪代表で10秒01の自己記録を持つ多田修平(住友電工)も出雲大会と織田記念国際を走ったが、左太ももに軽度の肉離れを発症したため、ゴールデングランプリは欠場。連覇を狙う日本選手権に向けて慎重に調整を進めているところだ。

昨年の日本選手権男子100メートルで優勝した多田修平(左から2人目)。連覇に向けて慎重に調整を続けている=昨年6月25日、ヤンマースタジアム長居(松永渉平撮影)
昨年の日本選手権男子100メートルで優勝した多田修平(左から2人目)。連覇に向けて慎重に調整を続けている=昨年6月25日、ヤンマースタジアム長居(松永渉平撮影)

五輪代表組が万全な状態ではないため、今季の日本勢のトップタイムは、米国に拠点を置くサニブラウンが3月20日の記録会でマークした10秒15にとどまっている。世界選手権の参加標準記録の有効期間は昨年6月28日から今年6月26日まで。好記録に沸いた昨年の布勢スプリントは期間外であり、昨夏の東京五輪も日本勢の記録は低調だったため、参加標準10秒05の突破者はまだ出ていないのが現状だ。

世界選手権のリレーメンバーは

近年の男子100メートルの記録向上とともに、五輪や世界選手権で注目を集めるのが同400メートルリレー。東京五輪では、多田、山縣、小池、桐生の4人でメンバーを組んだが、決勝で第1走者の多田から第2走者の山縣にバトンがわたらず、まさかのメダルなしに終わった。自国開催の東京五輪で周囲からの期待も大きかっただけに、選手たちにとっては気持ちを立て直すのにも時間がかかった。

ただ、桐生は「あれは失敗ではなく、経験だった」と捉え、2024年パリ五輪を目指していく覚悟を口にしている。小池も「五輪は世界陸上とは違うプレッシャーも感じたけど、そこで結果を出すことが本当に強い選手」と話し、次の五輪へ気持ちを向けている。

日本選手権で参加標準を突破して3位以内に入れば世界選手権代表に内定するが、一方で400メートルリレーのメンバー選考にも大きく影響する。多くの選手にとって次の大きな目標はパリ五輪になるが、毎年代表入りし、リレーのメンバーに選ばれることも重要になっていく。

昨年の日本選手権の男子100メートルでは、10秒15で優勝した多田に続いて、無名に近い存在だったデーデー・ブルーノ(セイコー、当時東海大)が10秒19で2位に入った。東京五輪代表組が地力を発揮するか、それともパリ五輪に向けた新星が誕生するのか、注目を集めるレースになる。(丸山和郎)

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