長崎市原爆被爆対策部長を務めていた男性幹部(死亡)による女性記者への性暴力訴訟で、市に約1975万円の賠償を命じた30日の長崎地裁判決。天川博義裁判長は判決理由で、幹部による違法な性暴力があったと認定した上で「取材に協力する態度を示して、記者に会うことを求め、性暴力に及んでおり、職務関連性がある」と市に責任があると判断した。
虚偽情報拡散についても「虚偽であることは明らか。二次被害が生ずることがないよう配慮すべきで、市は注意義務を負っていた」と指摘した。
訴状によると、女性は平成19年7月、長崎原爆の日の平和祈念式典に関する取材の際、幹部から性暴力を受けた。心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断され、休職や入院を余儀なくされた。幹部は同年秋、市の内部調査を受けた後に死亡。自殺とみられる。その後、別の幹部が記者に責任転嫁する虚偽の話を広め、女性は誹謗中傷の被害に遭ったとしている。