スライダー付き救命いかだ義務化へ 寒冷地の小型船

産経ニュース
国土交通省=東京都千代田区(鴨川一也撮影)
国土交通省=東京都千代田区(鴨川一也撮影)

北海道・知床半島沖の観光船「KAZU I(カズ・ワン)」の沈没事故を受け、国土交通省は27日、船から海中に落下せず避難できるスライダー(滑り台)付きの「救命いかだ」を新たに開発する方針を明らかにした。寒冷地を航行する小型旅客船を対象に搭載を義務付ける。携帯電話は通信設備として認めない方向で検討する。同日開かれた事故対策の有識者検討委員会で提案、了承された。

国交省によると、船舶安全法に基づく安全規則で、港から2時間以内の沿海を航行する20トン未満の小型船舶は、救命胴衣に加えて、海上に浮かべてしがみつく「救命浮器(ふき)」と呼ばれる救命具か、テントのような屋根のついた救命いかだを備えるよう義務付けている。

水温が5~10度の場合は30分から1時間で意識を失うとされるが、事故当時の現場の海水温は2~3度程度。カズ・ワンに搭載されていたのは救命浮器だった。このため、乗客らは救命胴衣を着用していたとしても、命にかかわる危険な状態に陥ったとみられる。

国交省は、寒冷地など水温が低い海域を航行する小型旅客船について、水にぬれることなく船から避難できる救命いかだが必要と判断した。スライダーで乗り移れる改良型の救命いかだをメーカーと協力して開発。小型船舶向けの製品は世界でも例がないという。

遭難信号を発信して非常事態と位置を知らせる装置の搭載や、海中でも体温を奪われにくい「救命スーツ」の導入も検討する。

このほか、小型旅客船の通信設備から携帯電話を除外。航路全域で通話が可能であったとしても携帯電話は認めず、無線か衛星電話のいずれかを認める。

小型船舶の免許があれば講習を受けるだけで旅客船を操縦できる船長らについては、運航経験や海域の知識などの登用基準を導入。事業者の安全性を評価、認定し、マークなどで表示する制度も創設する方向で具体策の検討を進める。

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