背中の痛みを引き起こす内臓の病気では、胆石症も関わることがある。今回は、肝臓で作られた胆汁を運ぶ胆道や、胆汁をためる胆のうと背中の痛みについて考える。
「胆石症では、必ずしも背中の痛みは伴いません。むしろ、胃炎と思って受診されて胆石が見つかるケースもあります。ただし、胆道がんで背中が痛むこともあるので注意が必要です」
こう話すのは、東邦大学医療センター大橋病院消化器内科の渡邉学臨床教授。肝臓や胆道などに関わる病気の診断・治療を数多く手掛けている。
胆汁をためる胆のうに、結晶化した石が生じる胆石と、胆のうの出口や胆管を詰まらせる胆管結石(または総胆管結石)で、痛みや黄疸(おうだん)などの症状を引き起こす。みぞおちや右脇腹付近の激痛が一般的な痛みの症状だが、背中に痛みを感じる人もいる。治療法は、外科的に胆のうを取り除く、あるいは、薬によって石を溶かすなど確立している。しかし、胆道がんは難しい。
「胆道がんは、胆道に沿ってがんが生じるため、早期段階では無症状のことが多い。がんで胆管が塞がる胆管閉塞で胆石のような症状(黄疸や痛み)が生じることで、見つかるケースも珍しいことではありません」