小林繁伝

契約金引き上げで、もめた入団交渉 虎番疾風録其の四(55)

産経ニュース
阪神の渡辺スカウト(右)と手の大きさを比べる古賀。左は河西スカウト部長=昭和49年11月
阪神の渡辺スカウト(右)と手の大きさを比べる古賀。左は河西スカウト部長=昭和49年11月

ドラフトで指名された選手たちが次々に〝プロの世界〟へ飛び込んでいく。

難航が予想された松下電器の山口も「もっとレベルの高い世界で自分の力を試したい」と会社を説得。契約金5千万円で阪急への入団が決定。同じ松下の福井も2千万円で近鉄入りした。そんな中で阪神の1位、丸善石油の大型投手、古賀正明(25)の入団交渉がもめた。

11月25日、阪神は河西スカウト部長と渡辺スカウトが、同社の四国・松山製油所を訪ねて指名のあいさつ。契約金2千万円、年俸240万円を提示した。古賀は「年齢的にもことしがプロ入りのラストチャンス。阪神で力を試したい」と発言。すんなり入団が決まるかと思われた。ところが2度目の交渉で「2500万円ほしい」と言い出した。

「自分で思っていたより契約金が少なかった。べらぼうな額を要求しているわけじゃない」

古賀は法大出身。岡山・津山商卒の福井に比べるとたしかに安い。阪神も3度目の交渉で2300万円まで引き上げた。ところが古賀は「あと100万円」と要求。阪神は12月21日、「これ以上は出せない」と通告。古賀側はさらに粘った。そして24日、阪神はついに「交渉を打ち切る」断を下した。阪神の長田球団社長は厳しい口調でこう言った。

「プロに入って一発勝負してやろう―という夢のある選手に来てほしい。実力さえあればいくらでも稼げる世界。はじめから安定を求める者はいらない」

筆者は入社して間もないころ、カープの黄金期を作ったといわれる広島・木庭スカウトに「プロ野球のスカウトって夢を与えるいい仕事ですね」と尋ねたことがある。木庭はこう答えた。

「違うよ。スカウトとはプロ入りという〝夢〟を諦めさせるのが仕事。それにプロに入れた子たちも、生き残れるのはほんのわずか。本当にこの子たちをプロに誘ってよかったのか…と自問自答の毎日だよ」

古賀は翌50年のドラフトで太平洋から1位指名されてプロ入り。1年目に11勝13敗1Sの成績を残した。だが、ヒジを痛め54年にロッテにトレードに出されると、以降、55年巨人―56年大洋―と転々と球団を渡り歩いた。58年に巨人から勝ち星を挙げ、史上2人目の「セパ全球団から勝った男」になり、59年に現役引退。「プロ入りとは」を考えさせられた。(敬称略)

■小林繁伝56

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