公正取引委員会は25日、荷主が優越的な地位を利用し、物流事業者からの運賃引き上げなどの契約交渉を不当に拒んだ恐れがあるとして、荷主19社に任意の立ち入り調査を実施したと発表した。
公取委によると、物流事業者は中小や零細企業が多く、価格交渉力が弱い傾向がある。公取委は昨年10月から荷主3万社、物流事業者4万社を対象に書面調査を実施し、4割程度から回答を得た。ガソリン価格や労務費の上昇を背景に運賃引き上げを求めた物流事業者に、荷主が取引先変更の可能性を伝えて応じないケースなどがあった。
公取委は今年4月、調査結果を基に独禁法違反につながる恐れがある641社に対して、注意喚起の文書を送付した。
政府は昨年12月、原材料価格の上昇などを受け、適切な価格転嫁を促す施策を取りまとめるなど対策を強化している。