将棋の藤井聡太叡王=棋聖・竜王・王位・王将との五冠=(19)に出口若武六段(27)が挑む第7期叡王戦五番勝負第3局(主催・不二家、日本将棋連盟)が24日、三井ガーデンホテル柏の葉(千葉県柏市)内のカンファレンスセンターで指され、109手で先手番の藤井叡王が勝利した。藤井叡王は負けなしの3連勝で初防衛を果たした。
藤井叡王はこれでタイトル戦13連勝。羽生善治九段と並ぶ歴代2位の記録を達成した。
対局は3局連続での相掛かりでスタート。午前中、出口六段は持ち時間4時間のうち四分の一ほどにあたる59分の長考をする場面が。午後にも何度か数十分考えこんで、「うーん」とうなる姿が見られた。
一方の藤井叡王も午後には1時間1分考え込んだ。終盤にかけて両者ともちょっとしたミスが命取りになりなりかねない緊迫した局面が続き、出口六段から1分将棋に突入。最後は藤井叡王が押し切った。
終局後、藤井叡王は「最後まで苦しい局面が続いた」と振り返った。タイトル初挑戦だった出口六段は「1、2局は内容があまり良くなかったのもあって、もう1回鍛え直して上にあがっていきたい」と語った。
出口六段はさらにその後の大盤解説場に姿を見せた際には、「ここで終わってしまうのがとても悔しい」と絞り出すような声で話すと、悔し涙を流した。ファンらは大きな拍手で健闘をたたえた。
叡王戦は、タイトル戦になった第3期以降、毎年挑戦者が勝利していたが、藤井叡王が〝ジンクス〟を破った。