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中東系航空会社で日本人CAとして働く前田みずきさん。写真は、オーストラリアのロットネスト島にて。手つかずの自然が残る島内を自転車で散策。提供:執筆者
SankeiBiz読者のみなさんにだけ客室乗務員(CA)がこっそり教える「ここだけ」の話。第130回は中東系航空会社乗務3年目の前田みずきがお送りいたします。
みなさんは「ラマダン」という言葉を耳にしたことはありますか? ラマダンとはイスラム歴の「9月(第9月)」で、最も神聖な月です。瞑想や崇拝をし自身の信仰心を強化します。また断食月とも言われています。
今年2022年は4月1日から1カ月間がラマダン期間でした。私にとっては4回目のラマダン経験です。今回は、中東のイスラム国家カタールに住んで感じたこと、ラマダン期間中の街の様子や航空機内の様子を紹介したいと思います。
ラマダンとは? 旅行者も断食するの?
先ほど、ラマダンとはイスラム教歴の断食月とお伝えしました。その期間、ムスリム(イスラム教徒)は日の出から日没まで飲食をしてはいけません。
▼私利私欲を抑え他者を想う
ただただ飲食をしてはいけないだけではなく、あらゆる欲を抑えなければならないのです。例えば飲酒、喫煙、喧嘩、ゴシップ、性行為などなど。ラマダン期間はお祈りをし、他者のことを考え、いいことをシェアしたりします。
▼旅行者も公共の場では水が飲めない
ムスリムでもみんながみんな断食をしなくてはいけないわけではありません。断食をするのは健康である大人です。子供、お年寄り、妊婦、また持病持ちの方や旅行者は断食をしなくてもいいことになっています。
ただし、ムスリムでなくても日中の公共の場での飲食は禁止されています。水を飲むことさえ禁じられています。
ラマダンが真夏時期にあたると、中東は日中の気温が約50度まで上がるので、水すら外で飲めないのは正直大変です。しかし、気温が50度もあると外に出ることすら嫌になるので、日中は屋内でリラックスして、日が沈んだら外に出かけるのをオススメします! もし万が一、公共の場で水を飲む場合は人目につかないところで飲みましょう。
ラマダン期間でなくても女性は肩を隠し、膝が隠れる服を着なくてはなりませんが、ラマダン中はさらに気をつけなければなりません。
ラマダン期間中の街は日没後が賑やか
公共施設は営業時間が短縮されます。ショッピングモールやスーパーマーケットは営業はしていますが通常より開店時間が遅かったり、お昼に一度閉店し、また夕方に開店したりとお店によってさまざまです。
▼日没とともに開店するレストランやカフェ
レストラン、カフェなどは日没と同時に開店します。わたしの住むカタールではたくさんの外国人、さまざまな宗教の人が住んでいるので、デリバリーなどは日中にオーダーすることも可能です。
お酒は基本的にホテルでのみ提供されていますが、ラマダン期間は日没後でも提供はされません。私たちはドーハをベースに乗務していますが、基本的にフライトで忙しいので実際ドーハにはあまりいません。お酒を飲むクルーはレイオーバー(フライトによる宿泊)先でたくさん飲んでいます。
▼非ムスリムも歓迎 ! 日没後の豪華な食事
日没後の食事をイフタールといい、イフタールは毎日盛大に祝います。ムスリムでなくてもイフタールには参加できます。中東ならではの高級な雰囲気を楽しみたい方はぜひ足を運んでみてください!
ラマダン中の航空機内は?
ラマダン期間中は機内サービスも少し変わります。旅行者は基本的に断食をしなくてもいいのですが、断食をしているムスリムのお客様や同僚はたくさんいます。
▼キャビン内でアルコールを注いではいけない
ラマダン中の機内の様子というと例えば、サービスカートの上やギャレートップにアルコールをディスプレイできなくなります。またアルコールをキャビンで注ぐことができないので、ギャレーで準備してからお客様にお持ちするルールになっています。