山梨県富士山科学研究所などの研究グループは23日までに、火山灰が12センチの厚さで積もると二輪駆動の自動車は動けなくなるとの実験結果をまとめた。吉本充宏主幹研究員は「1台止まれば道路は使えなくなる。復旧のためにも、車を避難に使わないでほしい」と呼びかけている。
実験結果は山梨、静岡、神奈川3県などでつくる「富士山火山防災対策協議会」が進める避難計画の改定に活用される見通し。
富士山麓にある公園で昨年10~11月、駐車場に火山灰や「スコリア」と呼ばれる小石を敷き、噴火後の道路に似せて実験。火山灰の厚みや道路の傾きを変えるなど複数のコースを用意し、車の重さやタイヤの駆動方式が違う9種類を走らせた。
火山灰などが約12センチ積もったコースでは、傾斜2~3度でも前輪駆動車、後輪駆動車のいずれも途中で前に進めなくなった。スコリアの厚さが20~30センチの平らなコースでも同様だった。
タイヤが沈み込んで空回りすることが原因。金属製や樹脂製のチェーンを付けても効果はなく、かえって走行距離が短くなったケースもあった。