【ソウル=時吉達也】北朝鮮の朝鮮中央通信は22日、新型コロナウイルス感染が疑われる発熱患者が、21日夕までの1日で新たに約18万6千人確認されたと報じた。4月末からの累計患者は約264万人に上り、人口の1割を超えた。
新たに確認された死者は1人のみで、累計の致死率が諸外国に比べ格段に低い「0・003%」にとどまっていると強調。新規患者数は2日続けて減少したとし、同通信は「感染状況は初期の急速な増加から減少傾向に移り、安定的に抑制、管理」されていると報じた。
朝鮮労働党機関紙、労働新聞は22日付の社説で、「建国以来の大動乱だといえる最大の防疫危機が成功裏に克服されつつある」と強調。「党が講じた非常防疫政策が極めて正当だということを明確に実証している」と誇示した。
北朝鮮当局は22日に軍重鎮の国防省総顧問、故玄哲海(ヒョンチョルヘ)氏の国葬を執り行うと予告。葬儀委員会は金正恩(キムジョンウン)総書記を委員長として党幹部ら計184人で構成される大規模なもので、こうした行事を通常通りに実施することで、感染の沈静化をアピールする狙いもあるとみられる。