北海道・知床半島沖の観光船「KAZU I(カズ・ワン)」の沈没事故で、国土交通省は20日、船体の引き揚げ作業を21日から始めると明らかにした。船体を調査した結果、引き揚げ作業が可能と判断した。早ければ23日にも、作業船の上に船体を引き揚げる。
斉藤鉄夫国交相は20日の事故対策本部会議で「事故原因の究明と再発防止を目的に、民間業者と船体の引き揚げを開始してほしい」と指示した。海上保安庁は、船内捜索を依頼した専門業者「日本サルヴェージ」と引き揚げ作業の追加契約を締結した。ただ、引き揚げ費用の約1億4千万円について国交省は、運航会社「知床遊覧船」には請求しないとしている。
海保や国交省によると、21日は船体の開口部を閉めるなど引き揚げに向けた準備作業を進める。22日には「スリング」と呼ばれるナイロン製のベルトを船体と海底の隙間に通し、船体にくくりつけ、水深10~20メートル付近までつり上げる。順調に進めば、23日にも作業船の上に引き揚げるという。
その後、早ければ来週中にも船体を陸揚げする見込みだが、周辺の潮流や天候の影響によっては、予定がずれ込む可能性もある。