最高裁第2小法廷(菅野博之裁判長)は19日、東京電力福島第1原発事故で避難した住民らが国に損害賠償を求めた4件の訴訟の上告審判決を、いずれも6月17日に言い渡すと決めた。原発事故後に全国各地に避難した住民らが起こした約30件の集団訴訟のうち、最高裁の判決は初めて。原発事故を巡る国の責任の有無について、初の統一判断が示される見込み。
4件の訴訟は、福島、群馬、千葉、愛媛でそれぞれ起こされた。国とともに被告となった東電の賠償責任は、すでに確定。国は巨大津波を予見し事故を回避できたか、東電に安全対策をとらせる権限があったかなどが争点となっている。
高裁段階では福島、千葉、愛媛で国の責任を認める判決が出された一方、群馬では否定されており、判断が分かれた。
原告側は、政府の地震調査研究推進本部が平成14年に公表した地震予測「長期評価」に基づいて国が規制権限を行使し、東電に対策をとらせていれば、事故は防げたと主張。これに対し国側は、津波は予見できず、仮に長期評価を踏まえて東電に対策を命じていても事故は回避できなかったと反論している。