山口県阿武町が新型コロナウイルス対策の臨時特別給付金4630万円を誤って1世帯に振り込んだ問題が大きく動いた。同県警が電子計算機使用詐欺容疑で逮捕した同町の無職、田口翔容疑者(24)が「町から誤って振り込まれたと分かっていて、別の口座に移して使った」という趣旨の供述をしていることが19日、分かった。
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県警によると、振り込まれた金のほぼ全額が別の口座に移されていた。田口容疑者は「オンラインカジノに使った」と容疑を認めており、県警は容疑者のスマートフォンを押収し、裏付け捜査を進めている。
逮捕容疑は4月12日、阿武町から自身の口座に振り込まれた400万円を、オンライン決済サービスで決済代行業者の口座に振り替え、不法に利益を得た疑い。
町は4月、金融機関で田口容疑者を含む住民税非課税の463世帯に給付金10万円ずつを振り込む手続きをした。しかし町職員が誤って容疑者の名前と4630万円の金額が記された振込依頼書も別途提出し、容疑者には10万円に加え4630万円が振り込まれた。
田口容疑者は、自分の口座に金が振り込まれた4月8~19日までに計34回にわたって計約4633万円を出金し、残高は約6万8000円に減っていた。主な出金先は国内の決済代行会社3社で、代理人弁護士は「決済代行会社を通じ、海外の口座に金が流れたのではないか」と話した。