親の介護と資産形成 休業時の給付金、セーフティネットは限定的

こんにちは、桶井道(おけいどん)です。連載13回目、今回は、「親の介護とお金」について書きます。

FIREと家族の介護には親和性があるという(Getty Images)※画像はイメージです
FIREと家族の介護には親和性があるという(Getty Images)※画像はイメージです

人生100年時代を迎えました。長生きを否定的に捉えた「長生きリスク」なる言葉が巷間いわれるようになりました。長生きは好ましいことですので、この現象には問題を感じざるを得ません。

内閣府発表の「令和3年版高齢社会白書」によりますと、2020年(令和2年)10月1日時点の日本の総人口は1億2571万人、うち65歳以上の高齢者は3619万人です。高齢化率(総人口に占める高齢者の割合)は28.8%となります。4人に1人以上が高齢者という計算です。高齢者が増えていることが窺い知れます。

また、同白書には、要介護もしくは要支援の認定を受けている人は、2018年度(平成30年度)末で645.3万人と記述されています。75歳以上で、要介護もしくは要支援の認定を受ける人の割合は、実に31.8%です。

つまり、あなたの父親か母親のいずれかが要介護もしくは要支援になる確率は31.8%×2=63.6%ともいえます。3人に2人の割合で起こる訳です。とても他人事ではありませんね。そして、おそらく、あなたが40~50代で起こる「まさか」です。この統計からしますと、「まさか」とはいえず、高確率で起こり得ます。今後、ますます、長寿化するなかで、このパーセンテージはより高くなるでしょう。

ここまで、統計データをもとに総論を書きましたが、各論に移りましょう。私のケースでお話を進めます。

私は、2018~19年に母親の介護を経験し(その後、母親は回復)、2021年からは現在進行形で父親の介護をしています。そして、2022年1月には母親がガンで入院、手術しました。これらすべて、私が40代のときに数年間で起こった出来事です。このように親が高齢になると、「まさか」は高確率で起こるのです。

2018~2019年、母親の介護をしたとき、私はまだ会社員でした。私自身も内臓の持病の状態が芳しくなく、自身の体調管理、仕事、介護、家事のすべてをこなすことはとても無理で、介護休職を取りました。

そのときに、国によるセーフティネットは、介護休業給付金です。給料のおおよそ3分の2が93日間支給されますが、復職時もしくは3カ月経過時の、どちらか早いほうで後払いです。また、介護休業給付金は、同じ要介護者に対して一度切りの制度です。つまり、父親の介護で一度だけ、母親の介護で一度だけしか使えません(ただし、93日分の介護休業を最大3回まで分割して使うことは可能です)。

介護は長引くケースがほとんどでしょう。一度良くなって、再び要介護になることもあり得ます。しかし、国による金銭的なセーフティネットは限定的といえます。

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