令和4年度補正予算案、物価高吸収には不十分 対策長期化なら実効性も課題に

産経ニュース

政府は17日、歳出総額2兆7009億円の令和4年度補正予算案を閣議決定し、4月に策定した物価高の緊急対策で取り崩した予備費を埋め戻した。夏の参院選を控え、補正編成を実績としたい与党の声を踏まえた異例の対応だ。国会審議を経ず拠出できる予備費の特性で迅速に対応できたとはいえ、物価高の負担を吸収するには不十分。ウクライナ危機の混乱が長引けば、さらに実効性の高い対策が求められてくる。

補正を裏付けにした今回の緊急対策は、政治的な妥協の産物となった。

参院選のアピール材料にしようと公明党が大規模対策と補正の編成を求めたのに対し、野党の追及を懸念して当初慎重だった自民党が受け入れた。生活困窮者支援や中小企業対策など新たに財源が必要な対策は大半を予備費から支出して先行実施。国会審議が必要な補正はその予備費の穴埋めと燃料価格抑制に絞り、終盤国会を乗り切る構えだ。

ただ、原材料価格の高騰を背景に景気回復が伴わない「悪い物価上昇」の懸念が強まる中、選挙前の突貫工事で作った対策だけに、負担軽減効果は不十分だ。

みずほリサーチ&テクノロジーズ上席主任エコノミストの酒井才介氏の試算では、食料とエネルギー価格の上昇に伴う令和4年の家計負担増は、1世帯当たり平均7万3000円に上る。うち燃料価格抑制で1万3000円を軽減でき、低所得の子育て世帯は子供1人当たり5万円が給付されることで負担感はほぼなくなる。ただ、ほかの一般世帯は6万円程度の負担が残り、消費の下押しは避けられない。

政府は生活困窮者を中心に家計の〝止血〟を重視した今回の緊急対策を第1弾と位置づけ、参院選後に打ち出す第2弾は、岸田文雄政権肝煎りの「新しい資本主義」を踏まえ総合的な経済対策とする方針だ。

ウクライナ危機は権威主義国に頼るエネルギー需給の脆弱性を突き付け、インバウンド(訪日外国人客)停止で円安のメリットも享受できない。物価高の長期化を見据え、日本が抱える「構造的課題」(酒井氏)に踏み込む必要がある。

(田辺裕晶)

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